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凡下
「凡下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凡下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
った多くの vulgarity が残っているのを私自身よく承知している。私は全く
凡下な執着に駆られて齷齪する衆生の一人に過ぎない。ただ私はまだその境界を捨て切る....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
して、大乗遊戯《だいじょうゆげ》の境に参入するカルマ曼陀羅《まんだら》の面影を大
凡下《だいぼんげ》の筆にうつし見んとするにあり。この着想前古に無きものなれば、そ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ことに唯|一詞。当の姫すら思い設けなんだ詞が、匂うが如く出た。貴族の家庭の語と、
凡下の家々の語とは、すっかり変って居た。だから言い方も、感じ方も、其うえ、語其も....
「九条武子」より 著者:長谷川時雨
、しかもその祖師は、苦難をなされはしたが、もとが上流の出であり、いかなる場合にも
凡下《ぼんげ》とはおなじでなく、おがまれ通してきた血であることだ。本願寺さまは本....
「奥の海」より 著者:久生十蘭
おいたという話は、金十郎も聞いていた。 「恐れることはない。一条の姫も九条の姫も
凡下に身をおとして、飛騨の山奥まで輿入れする時世だ。いずれは尼になるべきところを....
「日記」より 著者:宮本百合子
し四辺が静になる。黒い衣をたくしあげ、白い着物に赧顔を光らせた四十五六の髪の薄い
凡下な骨相の男が、一寸頭を左に曲げ、言葉と言葉との間をわざと区切らせ、唇を一寸と....
「山道」より 著者:中里介山
ではありません……今おっしゃる通りの芸術家でも何でもない、いわば戯作者で当人も大
凡下々《だいぼんげげ》の戯作者と称して喜んでいるような始末ですよ」 「え、あなた....
「無月物語」より 著者:久生十蘭
ぞんぶんに放埒な所業をつづけられたのは、そのへんに謂《いわく》があるとみていい。
凡下《ぼんげ》や一般の庶民は別として、公家堂上家の生活は風流|韻事《いんじ》に耽....
「三国志」より 著者:吉川英治
の。――しかるに、蜀も取りながら、まだ荊州をお返しなきは、いわゆる飽くなき貪慾、
凡下だに恥ずる所業といわれても仕方がありますまい。ましてや人の師表に立つ御方では....
「三国志」より 著者:吉川英治
非常に明快に夢占を解いてくれた。 「麒麟の頭にも角がある。蒼龍の頭にも角はある。
凡下の者が見るのは凶になるが、将軍のような大勇才度のある人が見るのは実に大吉夢と....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「おなじ人間と生れながら」 と、金鳳の御輿にある人と、板ぶき小屋に生れついた
凡下とをひきくらべて、つい羨ましくも見たであろう。 といっても、人皇九十六代の....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
いよいよ活溌で、鎌倉など、はや御眼中にありともみえぬ。といっても、雲の上のこと、
凡下の臆測でもあるが、ここ三年つづきの法勝寺行幸やら、また、このたびの東大寺、興....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
は文明二年の条で、これは同じ文明の七年の条の事であります。「近日は然るべき種姓は
凡下に下され、国民等は立身せしむ。自国・他国皆此くの如し。是れ併しながら下極上(....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
護国司の望をなすべく、左右する能はざるものなり」とも、また「近日は由緒ある種姓は
凡下に下され、国民は立身せしむ。自国他国皆斯くの如し」とも云っている。そしてその....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
山の山法師、三井寺の寺法師、南都の奈良法師はもちろん、上は高僧知識から、下は末流
凡下の俗僧まで、通じて法師と呼んだ。定家の『百人一首』には、喜撰法師だの素性法師....