凡手[語句情報] » 凡手

「凡手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

凡手の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
龍を作らせることになった。惜しむらくはその職人の名が伝わっていないが、彼は決して凡手ではなかったと見えて、その細工は甚だ巧妙に出来あがって、寺の西の軒に高く置か....
音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」より 著者:寺田寅彦
どうしても多少の無理が起こりやすい。それをこのくらいにまでまとめ上げるのはやはり凡手ではできないであろう。それにしてもクレールの「パリの屋根の下」や「自由をわれ....
蓮花図」より 著者:宮本百合子
に捕えられている。蓮花の茎が入り乱れて抽《ぬきん》でている下に鷺を配したところも凡手でなく、一種重厚な、美を貫く生の凄さに似たものさえ、その時代のついた画面から....
『新新訳源氏物語』あとがき」より 著者:与謝野晶子
て行って宇治をよく知るようになったものらしい。 歌は前篇の作者にくらべて劣るが凡手でない、その時代に歌人として頭角を現わしていた人の筆になった傑作小説として、....
作家的思想」より 著者:豊島与志雄
色もないこの町で、つい近頃もちあがった、奇怪な出来事の叙述に取りかかるに当って、凡手の悲しさで、少し遠廻しに話を始めなければならぬ。つまり、スチェパン・トロフィ....
夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
よ。顔をあげよ。三年の間、御苦労だった。お前のミロクは皮肉の作だが、彫りの気魄、凡手の作ではない。ことのほかヒメが気に入ったようだから、それだけでオレは満足のほ....
曽我の暴れん坊」より 著者:坂口安吾
ると、おどろいた。直径二寸五分ほどもある幹を一刀両断にしたもの、実に見事な切口。凡手の業ではない。しかし、かほど腕のたつ大人がこんなイタズラはしそうもない。イタ....
朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
えで》というものとは違った意味で――」 箏の調子を低くしろということは、これは凡手《ぼんしゅ》には言えないことだ。限りのある柱《じ》のおきかたであるから、低く....
「マリー・ロオジェ事件」の研究」より 著者:小酒井不木
面からいえば、痒いところへ手の届くように書きこなされてあるのであって、これは到底凡手の企て及ばざるところである。 最近わが国に於ても、盛んに探偵小説の創作が試....
随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
がある……』 に、江戸末年の高田、落合風景|泛《うか》びて、まことにこの描写、凡手ならずと今に嘆称するのところなり。たまたま花袋がこのあたりの描写にもほぼ同様....
我が円朝研究」より 著者:正岡容
います」云々とまことにいやらしくなく、簡潔の中に一味清純な艶かしさをたたえていて凡手でない。 かかるひまに萩原新三郎は一夜良石和尚から借りてきた金無垢の仏像を....
早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
ころで刀を留めて危なく胴をつないでおくのがこの辻斬の特徴であった。これはとうてい凡手の好くするところではない。必ずや一流に徹した剣客の狂刃であろうと、町奉行配下....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ったとおり、二天という落款のある画は、あれは宮本武蔵のことではない。九州に同名の凡手の画家があったのだ。それが宮本武蔵と混同されて来たのだ。――という説が信じら....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
、見事に、巻を閉じさせてしまうのである。 大手腕だと思う。古典の真味だと思う。凡手の及ばぬところと思う。けれど余りにも現代に通じるものが少ない。そのままを現代....