凶事[語句情報] »
凶事
「凶事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凶事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
木々もその空に、暗枝《あんし》をさし交《かわ》せて、ひっそり谷を封じたまま、何か
凶事《きょうじ》が起るのを待ち構えているようであった。が、彼は何も見ず、何も聞か....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
しゅう》」をそのままにして置けば、独り「家」が亡びるだけではない。「主」自身にも
凶事《きょうじ》が起りそうである。利害の打算から云えば、林右衛門のとった策は、唯....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
なく唾《つば》を吐き散らしながら小屋の前を行ったり帰ったりした。よその農家でこの
凶事があったら少くとも隣近所から二、三人の者が寄り合って、買って出した酒でも飲み....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の屋敷に祟《たた》るのであった。広い屋敷内に朝顔の花が咲くと、必ずその家に何かの
凶事があるというので、夏から秋にかけては中間どもが屋敷の庭から裏手の空地まで毎日....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
怪しんで、火を照らして窺うと、籠のそばにはおびただしい血が流れていた。 「さては
凶事があったに相違ない」 母も妻も一家こぞって泣き悲しんでいると、果たして夜が....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
。 紳士 うむ、あれは開けるべき木戸ではないのじゃ。俺が覚えてからも、止むを得ん
凶事で二度だけは開けんければならんじゃった。が、それとても
凶事を追出いたばかりじ....
「俊寛」より 著者:倉田百三
の得られない苦しみだ。しかも死んでいるか、生きながらえて恥を忍んでいるか、二つの
凶事の中から、決定しなくてはならないのに! わしは人間に想像力があるのが恐ろしい....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
けちがついたのである。姫の怨念は八重垣落しの断崖のあたりをさまよっていて、屋形に
凶事のある前には気味のわるい笑い声がしきりに聞え、吉事にはさめざめと哭くけはいが....
「馬妖記」より 著者:岡本綺堂
、文庫の上書きには「妖馬の毛」と記されてある。それに付帯する伝説として、神原家に
凶事か吉事のある場合にはどこかで馬のいななく声が三度きこえるというのであるが、当....
「おせん」より 著者:邦枝完二
く駆け込んで来たおせんの声に、折から夕餉の支度を急いでいた母のお岸は、何やら胸に
凶事を浮べて、勝手の障子をがらりと明けた。 「どうかおしかえ」 「いいえ」 「で....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
わんとして集った小供等は、曇った声で弔いの歌を唄います。祝して鳴らさるる筈の鐘は
凶事を伝え、諸国より集りし騎士音楽家は、驚きと怒りと悲しみとを、不思議を見たる瞳....
「頭上の響」より 著者:北村四海
いうものか吉兆の方は無い――尤も私の今日までの境遇上からでもあろうが――が奇妙に
凶事に関しては、事件の大小を論せず、必ず自分には前報がある、遅いのは三四日|前、....
「迷信解」より 著者:井上円了
との望みを起こすのが、すでに横着の考えより出ておる。けだし、人生には吉事もあれば
凶事もありて、いかなる王公貴人といえども、生涯不幸なく、幸福のみをうくることはで....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
あなたにくれぐれもよろしくとのことでした。 あなたの御家庭にもどうぞこのうえの
凶事が訪れませんように。南無阿弥陀仏。 (久保正夫氏宛 五月十三日。京都鹿ヶ谷よ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
夢の網に捕えてしまう。
心嬉しく新草の野を見て帰れば、鳥が啼く。
なんと啼くか。
凶事と啼きおる。
虚妄の糸が旦暮この身に纏って、
形が見える。物を告げる。警戒を....