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凶兆
「凶兆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凶兆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠義」より 著者:芥川竜之介
る》になると間もなく、板倉佐渡守から急な使があって、早速来るようにと云う沙汰が、
凶兆《きょうちょう》のように彼を脅《おびやか》したからである。夜陰に及んで、突然....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
念《おんねん》のなす業だという流言が、肥筑《ひちく》の人々を慄《おそ》れしめた。
凶兆はなお続いた。十月の半ばになったある朝、人々は、庭前の梅や桜が時ならぬ蕾を持....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
た名人愛用の一刀が、するりと鞘走《さやばし》りました。元結いの切れるは縁の切れる
凶兆、刀の鞘走るは首の飛ぶ不吉な前兆と、古来からの言い伝えです。どうして帰らない....
「猫町」より 著者:萩原朔太郎
圧が刻々に嵩《たか》まって行った。此所《ここ》に現象しているものは、確かに何かの
凶兆である。確かに今、何事かの非常が起る! 起きるにちがいない! 町には何の変....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
弟が死んだ。思うに、昔から喪に逢うものは無数である。しかもその夜にかぎって、特に
凶兆を示したのはなんの訳か。そうして、その兆を示すために、鵝鴨のたぐいを投げたの....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ンと卓上に置いた。そして、いかにも彼らしい奇問を放った。
「ああ、算哲……。あの
凶兆の鋤――スペードの王様をですか」
「いいえ、算哲様なら、ハートの王様でござい....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
ている。掛値をする処は今の支那の大将達と同じである。 義元出発に際して幾つかの
凶兆があった事が伝えられて居る。 元来義元は兄氏輝が家督を継いで居るので自分は....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
疑わなかったとある。われわれの現在の考え方だと、これはなんだかむしろ薄気味の悪い
凶兆のように思われるのに、当時のローマ人がこれを主都のかための土台石のように感じ....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
製した、百万年の壁画が、落ちた。 寂しさは、人の心の空虚を占領した。 鼠色の
凶兆はあった、それから間もなく、疾風豪雨になって、一行は、九死一生の惨めな目に遇....
「球突場の一隅」より 著者:豊島与志雄
さくして歩いた。 彼の心は興奮したまま佗びしい色に包まれた。凡てのことが何かの
凶兆を示すように思えて来た。そして彼は泥濘の上に映った足下の灯を見て歩きながら、....
「未来の天才」より 著者:豊島与志雄
と、朝蜘蛛は縁起がいいということを聞いたようでもあるし、天井から降りてくる蜘蛛は
凶兆だということを聞いたようでもあるが、兎に角、あの瞬間に縁起がいいと思ったのが....
「雪の宿り」より 著者:神西清
どの奉られた勘文では、これは飢荒、疾疫群死、兵火起、あるいは人民流散、流血積骨の
凶兆であった趣でございます。当時、何ぴとの構えた戯れ事でございましょうか、天狗の....
「俊寛」より 著者:倉田百三
ついに三羽ともたおれて死んでしまうまで。わしはその時恐ろしくなって、これはきっと
凶兆だからと言って彼をとめました。しかし彼はききいれなかった。しかしあの青二才の....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
れなかった。 占者の言葉とか。夢見とか。烏蹄きとか。下駄の鼻緒の切れた事にも、
凶兆として心配するので有った。それ故、夢見の悪さにそれを事実でも有るかの如く、遠....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
この後の太陽の光景は見る事が出来ぬけれど、 間もなく天に、争うべからざる恐ろしい
凶兆が現われた。 この時は丁度火星が地球と対面の地位に在ったが、無論、日の暮れ....