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出だし
「出だし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出だしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
もした、不眠にも陥った、痩せもした。一人の女の肉をも犯さなかった。或る時は神を見
出だし得んためには、自分の生命を好んで断つのを意としなかった。 他人眼から見て....
「星座」より 著者:有島武郎
して最後に彼はおぬいさんにこの上なく深い愛と親しみとを持っていることをはっきり見
出だした。そうなることが園にとってはきわめて自然ないいことだった。この発見は園の....
「活人形」より 著者:泉鏡花
偵はこの泰助なり。 泰助はまず卒倒者の身体を検して、袂の中より一葉の写真を探り
出だしぬ。手に取り見れば、年の頃|二十歳ばかりなる美麗き婦人の半身像にて、その愛....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
馭者は懐裡《ふところ》を捜《さぐ》りて、油紙の蒲簀莨入《かますたばこい》れを取り
出だし、いそがわしく一服を喫して、直ちに物語の端を発《ひら》かんとせり。白糸は渠....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
の床几を卓子の差向いに置く。 初の烏、また、旅行用手提げの中より、葡萄酒の瓶を取
出だし卓子の上に置く。後の烏等、青き酒、赤き酒の瓶、続いてコップを取
出だして並べ....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
方もただ眠りたるまねするを、今は心安しとてやミリヤアドのやや時すぐれば、ソト顔を
出だして、あたりをば見まわしつつ、いねがてに明を待つ優しき心づかい知りたれば、そ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
。 亡き人となりたまいて後は、わが寂しがるを慰めむとや、伯母上は快よく日ごとに
出だしたまう。場内の光景は見|馴れて明に覚えたり。 土間、引船、桟敷などいうべ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
ってね。」 「無論さ。」 と少年は傾聴しながら喙を容れたり。 お貞は煎茶を汲
出だして、まず少年に与えつつ、 「何だか知らないけれど、御婚礼をした時分は、嬉し....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
涼台に集る輩は、喋々しく蝦蟇法師の噂をなして、何者にまれ乞食僧の昼間の住家を探り
出だして、その来歴を発出さむ者には、賭物として金一円を抛たむと言いあえりき、一夕....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
見ず。君、よろしくその洋行日記を編成して世上に公にすべしと。余、よって懐中日記を
出だしてこれを示す。友人曰く、これにて足れり。世人、君より政教の事情を聞かんこと....
「西航日録」より 著者:井上円了
べきなり。ことに他邦人のいまだ断行し得ざる空前の冒険旅行者を、哲学館出身者中より
出だし、欧米人をして、その後に瞠若たらしめたるは、余が一層愉快とするところなり。....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
もと船は南に進み、雲の果てこそが呂宋である。) 当夕より晩食にアイスクリームを
出だし、夜中|電扇を動かす。 電扇送経。 (扇風器が風を送り夢より見覚めさせ、夜....
「迷信解」より 著者:井上円了
狐の寿命は八百歳にして、三百歳に達すれば変じて人の形に化し、夜中、尾をうちて火を
出だし、髑髏をいただきて北斗を拝す。その髑髏、頭より落ちざれば人となる」と説いて....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
ることなし。今、その使用法を述ぶるに、テーブルの周囲に数人相集まり、おのおの手を
出だして軽くテーブルに触れ、暫時にしてその回転を見るに至るなり。また、テーブルに....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
えた。慧鶴は自分の気のせいかと思ったが、灰の降りも少くなったらしく、そろそろ人が
出だして、寺の垣外を通る話声にもそのようなことを話し合っている。慧鶴は油断はすま....