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出口
「出口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
を離れて心あてに事務長を目で尋ねた。と、事務長は、はるか離れた船艙《せんそう》の
出口に田川夫妻と鼎《かなえ》になって、何かむずかしい顔をしながら立ち話をしていた....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
えて、差し出たことをするならば、その人は純粋なるべき思想の世界を、不必要なる差し
出口をもって混濁し、なんらかの意味において実際上の事の進捗《しんちょく》をも阻礙....
「星座」より 著者:有島武郎
ぬいは別に慌てることもなく、すなおな気持で立ち上って迎いに出ようとしたが、部屋の
出口の柱に、母とおぬいとの襷がかけてあるのを見ると、派手な色合いの自分の襷を素早....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
が残っているのみである。自然主義発生当時と同じく、今なお理想を失い、方向を失い、
出口を失った状態において、長い間|鬱積《うっせき》してきたその自身の力を独りで持....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
で下さりまし。」 「あら、何でしょう、」 と友達も、吃驚したような顔で※すと、
出口に一人、駒下駄を揃えて一人、一人は日傘を開け掛けて、その辺の辻まで一所に帰る....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
裏から見た所だなあそれは。山はわし気に入ったども、雲が黒すぎるでねえか」 「さし
出口はおけやい」 そして君たち二人は顔を見合って溶けるように笑みかわす。寒さは....
「親子」より 著者:有島武郎
うにびしびしとやり込めた。 彼にはそれがよく知れていた。けれども彼は濫りなさし
出口はしなかった。いささかでも監督に対する父の理解を補おうとする言葉が彼の口から....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
この小母さんだから通ったのである。 つい、(乙)の字なりに畝った小路の、大川へ
出口の小さな二階家に、独身で住って、門に周易の看板を出している、小母さんが既に魔....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、肩を軟に、胸を低うして、更めて私たち二人を視たが、 「で、山路へ掛る、狼温泉の
出口を通るんでございますが、場所はソレ件の盆地だ。私が飲んでいました有合御肴とい....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
し内へ引込んだのである。ここにおいて、番町さんの、泉、はじめて悠然として、下足を
出口へ運ぶと、クローク(預所)とかで、青衿が、外套を受取って、着せてくれて、帽子....
「橋」より 著者:池谷信三郎
いぶりや挙動で、店員は別に怪しみもしなかった。では、この御洋服は箱にお入れして、
出口のお買上品引渡所へお廻しいたしておきますから、…… ところが、エレベーター....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
りがけなのでござりますて。 上方の御老体が、それなり開けると出会頭になります。
出口が次の間で、もう床の入りました座敷の襖は暗し、また雪と申すのが御存じの通り、....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
事官はこうさけびました。そのころ東通のはずれに、門があったのです。 とにかく、
出口をさがして、そこをとおりぬけると、今の王立新市場のある通へでました。けれどそ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
言わむ方無し。とこうして道のほど、一町ばかり行きける時、遥に梟の目のごとき洞穴の
出口見えぬ。 この洞穴は比企ヶ谷の森の中にあり。さして目立つほどのものにあらね....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
いうように見える。 「もう時間だ。」フレンチは時計を出して一目見て、身を起した。
出口のところで、フレンチが靴の上に被せるものを捜しているときになって、奥さんはや....