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出始
「出始〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出始の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
結果、いくぶんは停められるようになる。 しかしそれは幾分であって、咳がいよいよ
出始めると、どうしようもない。それを、同じ咳を出すにしてもなるべく小さい咳を出そ....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
出さなければならないと思った。このごろはちょうどにおいあらせいとうがパリの市場に
出始める季節であった。それには赤いのもあり、白いのもあり、むらさき色のもあって、....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
大抵は極っていたようです。時には灯が附いてから人の集まることもあります。新蓮根の
出始めなど、青々した葉の上に、白く美しい根を拡げたのが灯に映えて綺麗ですが、それ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
は、いつから始まっておったっけな」 「ひやかしゃいけませんよ。三月十二日があれの
出始め、いと怪しのほうもその日が初日じゃござんせんか」 「なるほどな。十一日に三....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
顔もみごとに赤くなる。 「講習会なんてだめなものですな」 校長の気焔がそろそろ
出始めた。 大島さんがこれに相槌をうった。各小学校の評判や年功加俸の話などが出....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
ているのを思い出して欲しい。 処で不良華族のエロティシズムと平行して赤い華族が
出始めた。即ちこの点でも亦、華族は普通の人間世界の真似を始めたのである。そこで治....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
絶や痙攣《けいれん》や嘔吐《おうと》を起こした。七、八歳のころ、ちょうど音楽会に
出始めた時分には、睡眠が落着いて得られなかった。眠りながら、話したり叫んだり笑っ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ストフが怒りに任せてうちたたいても、それは開かなかった。そのうちに聴衆は場席から
出始めていた。クリストフはそこにじっとしてることができなかった。彼は逃げ出した。....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
しゃるなら、」とコゼットは答えた。
そして父の意に従うために、彼女はまた表庭に
出始めた。しかし多くはひとりでだった。なぜなら、前に言っておいたとおりジャン・ヴ....
「文字禍」より 著者:中島敦
ヘ・エリバは、新しい粘土の備忘録に誌《しる》した。文字を覚えて以来、咳《せき》が
出始めたという者、くしゃみが出るようになって困るという者、しゃっくりが度々出るよ....
「線香花火」より 著者:中谷宇吉郎
見たつもりなのであった。 火球が酸化のためにどれくらいの温度になった時に火花が
出始めるかを見るのは一寸厄介である。これにはやはり器械が要るので、熔鉱炉の中の温....
「寺田先生の追憶」より 著者:中谷宇吉郎
代で、先生の頭の中に永らく蓄積されていたものが、急にはけ口を得て迸《ほとばし》り
出始めたような感じを周囲に与えておられた。研究の方も同様であって、三年間かの病床....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
《ハウスマン》でも一般に二、三頭は有ち多くの者は五、六頭を有っている牝牛は、乳が
出始めるので、家族には、特に子供達には、大いに助けになるはずである。一七九九年の....
「読書遍歴」より 著者:三木清
たのである。 日本における哲学書の出版に新しい時期を画した岩波の『哲学叢書』が
出始めたのは、その頃のことである。私なども紀平正美氏の『認識論』とか宮本和吉氏の....
「「禰宜様宮田」創作メモ」より 著者:宮本百合子
がたれて居る。 ○岩の間に菫の小さい葉がしげり出して居る。 ○桑の尺とり虫が
出始め、道ばたに青草がしげり出し、くもが這いまわる。 ○手品使の広告が通る。広....