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出抜ける
「出抜ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出抜けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
。その内に我々はいつのまにか、河岸の取《とっ》つきへ来てしまった。このまま河岸を
出抜けるのはみんな妙に物足りなかった。するとそこに洋食屋が一軒、片側《かたかわ》....
「或る女」より 著者:有島武郎
絵島丸が横浜を抜錨《ばつびょう》してからもう三日《みっか》たった。東京湾を
出抜けると、黒潮に乗って、金華山《きんかざん》沖あたりからは航路を東北に向けて、....
「観画談」より 著者:幸田露伴
っている七、八軒の家の前を過ぎた。どの家も人がいないように岑閑としていた。そこを
出抜けるとなるほど寺の門が見えた。瓦に草が生えている、それが今雨に湿れているので....
「黒髪」より 著者:近松秋江
凍てて、それに麗らかな茜色の朝陽の光が漲り渡っていた。雪の深い関ヶ原を江州の方に
出抜けると、平濶な野路の果てに遠く太陽をまともに受けて淡蒼い朝靄の中に霞んで見え....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ありますか。……外から見える縁側の雨戸らしいのは、これなんでしょう、ずッと裏庭へ
出抜けるまで、心積り十八九枚、……さよう二十枚の上もありましたろうか、中ほどが一....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
くごく淋しい深山で、そして不思議に山彦のよく響く処でございました。漸く山林地帯を
出抜けると、そこは最う山の頂辺で、芝草が一|面に生えて居り、相当に見晴しのきくと....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
のためだろう。 その黒い瓶を取って投げられたら。…… 筆者は足早に立退いた。
出抜けると丘が向うに、くっきりと樹が黒い。山下町はこの辺らしい。震災に焼けはしな....
「木曽御嶽の両面」より 著者:吉江喬松
また立ち止って長く嘶き互に嘶き合って一つ一つ夕靄の中に消えて行く。 藪原の宿を
出抜けると道は既に木曾川の岸を伝って走っている。明日は御嶽へ登るべき身の足の疲労....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
て一散に逃げ出した。市郎は何処までもと其後を追ったが、敵は非常に逃足が疾い。森を
出抜ける頃には、既に十五六|間も懸隔たって了った。 「畜生……到底駄目だ。」と、....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
いろの商売をして居る兵士があります。これはピンビタンにもあったです。その兵隊町を
出抜けると大きな門がありその門の脇に見張の兵隊が二人居りますから、その兵隊に書面....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
たが、
今では賢く、落ち著いて遣る。
この世の中はもう知り抜いた。
その埒の外へ
出抜ける当は無い。
誰にもしろ、目映そうに上を向いて、
天の上に自分のようなもの....