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出物
「出物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
、すべすべと健康らしい、浅黒いつやの皮膚は何よりも葉子には愛らしかった。始終吹き
出物でもしそうな、膿《うみ》っぽい女を葉子は何よりも呪《のろ》わしいものに思って....
「星座」より 著者:有島武郎
》は軒に這い下り、そり返った下見板の木目と木節は鮫膚《さめはだ》の皺《しわ》や吹
出物の跡のように、油気の抜けきった白ペンキの安白粉《やすおしろい》に汚なくまみれ....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ながした。 「また召そうも知れぬ。その折りには重ねてまいれよ」 忠通は当座の引
出物《ひきでもの》として、うるわしい色紙短冊と、紅葉《もみじ》がさねの薄葉《うす....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
れ、はじめの一冊だけ、ちょっと表紙に竹箆《たけべら》の折返しの跡をつけた、古本の
出物《でもの》がある。定価から五銭引いて、丁《ちょう》どに鍔《つば》を合わせて置....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
しかった。 カフェを経営することに決め、翌日早速周旋屋を覗きまわって、カフェの
出物《でもの》を探した。なかなか探せぬと思っていたところ、いくらでも売物があり、....
「第五氷河期」より 著者:海野十三
噴火の煙で、太陽が遮られて、気温が下るとか……」 「そうです。私は、その噴火の噴
出物が空を蔽って、気温が降下しているという説には賛成なんですが、今、青倉先生は、....
「予報省告示」より 著者:海野十三
四氷河期が襲来! 北太平洋と南太平洋とに於て、激烈なる火山活動が始まり、その噴
出物は天空に舞上って太陽の光を遮断するに至る。かくして氷河期となる。 火山学界....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
からね。ときどき生爪《なまづめ》を剥がすことがあるのさ。そこで、あの掛地はどこの
出物《でもの》ですえ」 「さあ、生まれは何処だか知りませんが、ここへ持って来たの....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
離まで広がって、そうして、星雲に特有な二つ巴のような二重螺旋形を形成する。その噴
出物質は主として最も凝縮しにくいガス体、特にヘリウムと水素、並びにまたそれよりは....
「蠅男」より 著者:海野十三
などについて、こまごました注意を与えたのち、 「さあ、これは今夜の、わしからの引
出物や。これを一枚、お前にやる」 と云って、一枚の紙札をくれた。 帆村が何だ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
「全く、お嬢さんでなくても、木ノさんには匙を投げます」と云った。 新造卸しの引
出物の折菓子を与えられて、唇の紅を乱して食べていた雛妓が、座を取持ち顔に、「愛嬌....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
であった。 そこで彼等は眼を皿のようにして阿Qを見た。絹袴が無い時には、絹袴の
出物は無いかと彼に訊ねてみたく思った。瓦斯織の単衣がほしい時には、瓦斯織の単衣の....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、かれは結局多寡をくくって素直にその役目を引き受けることになった。師直は当座の引
出物として、かれに色ある小袖ひと重ねと練絹ひと巻とを取らせた。差しあたっての利慾....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
うだろう。併しあの以来、※の噂も消えた様だよ。まあ、好塩梅だ。何しろ、金の兜は掘
出物だったよ。」 「あれが真実の掘
出物と云うのだろう。僕も県史や飛騨誌などを調査....
「俗臭」より 著者:織田作之助
していたので、ぼろい儲けもなかったが、その代り、損もなかった。馴れて来るとつい掘
出物をとの慾も出て、そんな時は五会の連中に嗤われた。はじめてから三月程経ち、切れ....