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分けても
「分けても〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分けてもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
はじめは怪しんだが、二日め三日めには心着いた。意気地なし、臆病。烏瓜、夕顔などは
分けても知己だろうのに、はじめて咲いた月見草の黄色な花が可恐いらしい……可哀相だ....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
の発頭人は、一昨日御坊川で磔にした。また、松野八太夫様に礫を打った下手人は、草を
分けても詮議するとこう仰せられるのじゃ。 (一座から激しく嘆息がきこえる) ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あ誰でもそう思っているんだ。取り分けて上から御褒美まで頂戴している女だから、草を
分けても其の下手人を捜し出さにゃあならねえ。ところで、素人染みたことを云うようだ....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
人だけを後列の方の組に廻して見た。後列が勝った。フランス語の組とドイツ語の組とに
分けても見た。が、それでもやはり僕のいるフランス語の方が勝った。仕方なしに班長は....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
えていた忠義者で、生れは相模の方だとか聞きました。お仲はお元からいくらかの形見を
分けてもらって、またどこへか奉公に出たようでした。残っている地面と家作は御新造の....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、さかりのついた犬同然、珠を頂いた御恩なぞも、新屋の姉えに、藪の前で、牡丹餅半分
分けてもろうた了簡じゃで、のう、食物も下されば、お情も下さりょうぐらいに思うて、....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ら、と思うとあるいはそれかも知れぬ。 今境内は人気勢もせぬ時、その井戸の片隅、
分けても暗い中に、あたかも水から引上げられた体に、しょんぼり立った影法師が、本堂....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
雲を落ちた水のような畝った道を、とぼついて、堪らなくなって――辻堂へ、路傍の芒を
分けても、手に露もかかりません。いきれの強い残暑のみぎり。 まあ、のめり込んだ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
た皆がしょんぼりする。 勿論、電燈の前、瓦斯の背後のも、寝る前の起居が忙しい。
分けても、真白な油紙の上へ、見た目も寒い、千六本を心太のように引散らして、ずぶ濡....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
と、その人間のたましいがあなたのからだのなかにながれこんで、その人間のしあわせを
分けてもらえることになる。しかも、その人間はあなたにたましいを
分けても、じぶんの....
「廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
ん拵えたのである。千生はそのお初を食って直ぐに出たのであるから、早く行けば幾らか
分けてもらえるに相違ない。急げ、急げと千生は再び芝居がかりで指図した。 「ありが....
「金の輪」より 著者:小川未明
は信じませんでした。 太郎は、少年と友だちになって、自分は少年から金の輪を一つ
分けてもらって、往来の上を二人でどこまでも走ってゆく夢を見ました。そして、いつし....
「くわの怒った話」より 著者:小川未明
、つづくかぎりやってみます。」と、弟は答えました。 弟は、ほどなく、その自分に
分けてもらった土地を売り払って、旅へ出かけてゆきました。その後に残った兄は、圃に....
「こがらし」より 著者:岩本素白
殆ど高層建築というものがなく、地勢によっては、何処からでも富士も筑波も見通しで、
分けても北の筑波おろしが身に沁みたのである。 一の酉が済んで七五三の祝い日ごろ....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
になる。勿論それは最初からの予定の行動で、結婚とまで運べばもうしめたもの、財産も
分けてもらえるだろうし、失業の怖れもなさそうだ。そこで吉岡は腕によりをかけて久子....