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分厚
「分厚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分厚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
大廻しに楫棒《かじぼう》を店の前へ下《おろ》した。さすがに慎太郎にもなつかしい、
分厚な硝子戸《ガラスど》の立った店の前へ。
四
一時間の後....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
様子と言ったら飛びつきたいほど優美でした。頭髪は項の辺で切って背後に下げ、足には
分厚の草履を突かっけ、すべてがいかにも無造作で、どこをさがしても厭味のないのが、....
「或る女」より 著者:有島武郎
古藤のも出て来た。あて名は倉地だったけれども、その中からは木村から葉子に送られた
分厚《ぶあつ》な手紙だけが封じられていた。それと同時な木村の手紙があとから二本ま....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
日は十九日と、」 五助は身を捻って、心覚、後ざまに棚なる小箱の上から、取下した
分厚な一|綴の註文帳。 膝の上で、びたりと二つに割って開け、ばらばらと小口を返....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
たという、それに中てられたんです。 なかなか、絵も二枚や三枚じゃない、ずッしり
分厚に綴込んだ一冊で、どんな事が書いてあるか知れません。冒険的にも見たかったので....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
あった。まず私に与えられたのは、いわば当時の扇風機のモーター代わりの役目である。
分厚いどんちょうの端からたれ下がっているひもを、次の間からひいたり、ゆるめたりす....
「宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
見せるつもりなんだろう。 この研究塔は、往来からもよく見えた。研究所のまわりは
分厚い背の高い壁にとりかこまれ、その境内は欝蒼たる森林でおおわれていた。そしてと....
「地球盗難」より 著者:海野十三
で呉れ。その方がお主のためでもあり、また皆のためじゃ」 大隅理学士は、とうとう
分厚い原書をパタリと閉めてしまった。どうやらこれはかなり重大な事件が発生したもの....
「特許多腕人間方式」より 著者:海野十三
のをしましてなあ」 客は、そういいながら、卓上に忘れていった『動物図鑑』という
分厚な本を取り上げると、また、あわてふためいて、帰っていった。 余は、胸の静ま....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
りしていた。ただ、隅の窓に寄ったテーブルの一つに、司法主任と彼の部下の一人とが、
分厚なサンドウイッチに噛り附いていた。彼は私達を見附けるや、立上って同じテーブル....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
こと、内部には板敷もなく、入口にもお定まりの狐格子さえない。そして、残りの三方は
分厚な六分板で張り詰められ、それを、二つの大池をつなぐ池溝が、馬蹄形になって取り....
「秋深き」より 著者:織田作之助
きなり女が口をはさんだ。斬り落すような調子だった。 風が雨戸を敲いた。 男は
分厚い唇にたまった泡を、素早く手の甲で拭きとった。少しよだれが落ちた。 「なにが....
「雨」より 著者:織田作之助
立てが一つ/\大きく、眉毛が太く、眼は近眼鏡のうしろにギョロリと突出し、鼻の肉は
分厚く鉤鼻であった。その大きな鼻の穴からパッパッとせわしく煙草のけむりを吹き出し....
「雨」より 著者:織田作之助
ある。軽部は小柄なわりに顔の造作が大きく、太い眉毛の下にぎょろりと眼が突き出し、
分厚い唇の上に鼻がのしかかっていて、まるで文楽人形の赤面みたいだが、彼はそれを雄....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
して右肩下りの、線の崩れたようなからだつきは何かいろっぽく思えたが、しかし、やや
分厚い柔かそうな下唇や、その唇の真中にちょっぴり下手に紅をつける化粧の仕方や、胸....