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分娩
「分娩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分娩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ない処女のそれのようにさえ見えた。
それから普通の期間を過ぎて葉子は木部の子を
分娩《ぶんべん》したが、もとよりその事を木部に知らせなかったばかりでなく、母にさ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
るが、その子は生れながらに眼を外けさせるような、醜悪なものを具えていた。しかも、
分娩と同時に死に標本だけのものならともかく、現在生きているのだから、一目見ただけ....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、その最中余を驚かせたるものありて、幹枝の懐妊を知れり。早速沼津在の農家に送りて
分娩を終らしめ、再び本園に連れ帰りしは、本年の一月なりき。されど、その間において....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
、出て来た。 産声があがった。豹一は涙ぐんだ。いままで嫌悪していたものが、この
分娩という一瞬のために用意されていたのかと、女の生理に対する嫌悪がすっと消えてし....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
って選ばれたる一人の女性が手術による人工受胎法によって一人の嬰児を懐妊し、そして
分娩するために国立生殖病院に入れられ、そして一人の人間を補充すればいいんだ。性欲....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
あった。きのうの日暮れまでも立ち働いておったそうである。夜の一時ごろにしかも軽く
分娩して、赤子は普通より達者である。 自分は変わった人のさまを見るに忍びなかっ....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
もウッカリ手を下せないのだ。母体が肺結核とか慢性腎臓炎であるとかで、胎児の成長や
分娩やが、母体の生命を脅すような場合とか、母体が悪質の遺伝病を持っている場合とか....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
仮りに真一にシャム兄弟的なもう一人の人間があって、それと妾とが同じ日に同じ母から
分娩されたとしたら、これは常識からいっても所謂三つ子である。つまり丁寧にいえば三....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
一度は実行に移してみたいと思う。 ◯朝子、去ル一月二十六日十八時三十五分、男子ヲ
分娩、共ニ元気ノ旨、只今(十六時)鹿児島ノ徹チャンヨリ入電。コッチノ一同躍リアガ....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
夜、トシエは子を産んだ。兄は、妻の産室に這入った。が、赤ン坊の叫び声はなかった。
分娩のすんだトシエは、細くなって、晴れやかに笑いながら、仰向に横たわっていた。ボ....
「雨」より 著者:織田作之助
物の言い方など申分ないと褒められるようになった。その年の秋友子は男の子を産んだ。
分娩の一瞬、豹一が今まで嫌悪してきたことが結局この一瞬のために美しく用意されてい....
「婦人と職業」より 著者:倉田百三
あずけて、夫とともに家庭を留守にして働くのである。婦人には月々の生理週間と妊娠と
分娩後の静養と哺乳との、男子にはない特殊事情がある。これは自然が婦人に課したる特....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
幸な便りをしなくてはならないことを悲しみます。私の庄原にいる姉が、先月二十三日に
分娩して以来産後の日だちが悪しく、かねて肺が悪かったので衰弱はなはだしく一昨日突....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
とは彼の手紙に書いてなかった。 四月二日朝、おせいは小石川のある産科院で死児を
分娩した。それに立合った時の感想はここに書きたくない。やはり、どこまでも救われな....
「雨」より 著者:織田作之助
。名前は豹吉とつけようと友子がいったが、彼は平凡に太郎とつけ、皆んなに笑われた。
分娩の一瞬、豹一は今まで嫌悪していたものがこのことに連がるのかと何か救われるよう....