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分泌物
「分泌物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分泌物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
悪い蒸《む》し暑さであった。嘔吐物《おうとぶつ》の臭気と、癌腫《がんしゅ》らしい
分泌物《ぶんぴぶつ》との臭気は相変らず鼻を衝《つ》いた。体がいやにだるくて堪えら....
「ナポレオンと田虫」より 著者:横光利一
一円に渡っては数千万の田虫の列が紫色の塹壕を築いていた。塹壕の中には膿を浮かべた
分泌物が溜っていた。そこで田虫の群団は、鞭毛を振りながら、雑然と縦横に重なり合い....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
ばかりの羞恥を覚えた。毛の根は汗ばんだ。その美しい暗緑の瞳は、涙よりももっと輝く
分泌物の中に浮き漂った。軽く開いた唇は熱い息気のためにかさかさに乾いた。油汗の沁....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
る肉づけを持った具象物だ。而も夫がモラルの徴表なのである。モラルの感覚的・物的・
分泌物が風俗だ。――私は文芸評論の一つの観点として、風俗描写というものを強調した....
「道徳の観念」より 著者:戸坂潤
、即ち社会機構の著しい変革によって促された。すでに述べたように、道徳は社会秩序の
分泌物のようなもので、従ってその反映である道徳意識乃至倫理観念は、社会秩序の上部....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
は、数千万の田虫の列が紫色の塹壕《ざんごう》を築いていた。塹壕の中には膿を浮べた
分泌物が溜っていた。そこで田虫の群団は、鞭毛を振りながら、雑然と縦横に重なり合い....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
こる。言わば高圧釜《こうあつがま》の安全弁のように適当な瞬間に涙腺《るいせん》の
分泌物を噴出して何かの危険を防止するのではないか、そうでないとどうも涙の科学的意....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
きていたという事実が分かった。それはこのハンカチーフについている博士の身体からの
分泌物《ぶんぴつぶつ》の蒸発変化度《じょうはつへんかど》から推定して今のようにい....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
その上に成り立っている。思惟や観念は、脳細胞の単なる機能と考えられたり、脳細胞の
分泌物であると説明されたりする。そして生理学的諸事実は凡て、結局に於て機械的な物....
「認識論とは何か」より 著者:戸坂潤
因の若干を挙げたのでは発生の説明にはならぬからである。思考(乃至意識)は脳細胞の
分泌物であるとか分泌作用であるとか、云っても、発生の充分な原因を述べたことにはな....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
トの上の、筵の藁の、どこからか尿のしみ出す編目に埋めた 崩れそうな頬の 塗薬と、
分泌物と、血と、焼け灰のぬらつく死に貌のかげで や、や、 うごいた眼が、ほろりと....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
シアが周辺から内部へ生え込んでいって、樅林を攻撃し、敵の根を締めつけかきむしり、
分泌物でそれを毒殺していた。それこそ必死の争闘であって、勝利者は敗者の場所と遺骸....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
、薄汚い襞々は、まるで因果絵についた、折れ目のように薄気味悪く、フローラは全身の
分泌物を絞り抜かれたような思いだった。それからフローラは、邪険に横蔵を追いやって....
「日記」より 著者:宮本百合子
音楽の発達は分り易くもありあまり人をあきさせない講話であった。 長井博士の副腎
分泌物と精神作用との講話は興味を持たなかった人も多くあったらしい。 体の工合で....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
最近医学の進歩につれて、この性欲なるものは、人体内の諸所より血液中へ分泌される内
分泌物、すなわちホルモンの司る作用であって、そのホルモンが血液に混じて体内をめぐ....