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分相応
「分相応〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分相応の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「顔の美について」より 著者:伊丹万作
顔の美について 伊丹万作 人間が死ぬる前、与えられた寿命が終りに近づいたときは、その人間の
分相応に完全な相貌に到達するのであろうと思う。 完全な相貌といつただけでは何の....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ぎていた。というよりも、夜にでもなったらモンパルナスのキャフェへでも出掛けて行き
分相応愉快に過しなさいという気持で、一人置いて行く子のアパートを、モンパルナスか....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
を持ち出したので、その間をとって二等ときまったのだそうだ。が、行きは、ちゃんと身
分相応ふところ相応の三等で行った。 もっともフランスの船の三等というのは、ちょ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
くなった母親の記念の裾模様を着て参りました。……手織木綿に前垂した、それならば身
分相応ですから、人様の前に出られます。時おくれの古い紋着、襦袢も帯もうつりません....
「巴里のむす子へ」より 著者:岡本かの子
しかし、無理をして勉強せよとも、是非偉くなれとも私たちは決して言わなかった。ただ
分相応にその道に精進すべきは人間の職分として当然のことであるとだけは言った。だの....
「フランダースの犬」より 著者:菊池寛
でもなく、とうとうこんなに年寄ってようやく一つ所に落ちつき、やっぱり百姓は百姓の
分相応な望みで暮すのが一番だと悟って、可愛い孫のために、ひたすらそれをねがったの....
「猫の草紙」より 著者:楠山正雄
まう。わたしはそれを見るのがかわいそうだ。だからお前たちもこれから心を入れかえて
分相応に、人の捨てた食べ物の残りや、俵からこぼれたお米や豆を拾って、命をつなぐこ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
の後いよいよ不如意にまかり成り候て、当時は必至と難儀いたし候、もつとも在所表は身
分相応の者どもに候間、右国許へまかり越し、金子才覚いたし度候へども、なにぶん路用....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とはいえ、彼はこの考えを果たし得る手腕を持っていた。これまでは財産がないために身
分相応の面目を保つことが出来ないのを愧じて、その財産を作るために努めて細ぼそと暮....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
けましたあなた様のために、五郎蔵親分に嬲り殺しにされて死ぬこそ、妾のような女には
分相応! ……本望! ……喜んで死にまする! 頼母様アーッ」 荒縄の一端で釣り....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
動きましょう。魂の意志(変な言葉ですけれど)で動きましょう。あるがままの器量で、
分相応な表現をしましょう。その器量の太った時にのみ私の表現を大きくしましょう。 ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
彦七と長兵衛とを勤めた。今度は特に大阪方の出し物というのはなく、忠臣蔵のなかで身
分相応の役々を受持つことになった。 しかし、この興行は不幸にして予期したほどの....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
して、隠退する者が多くあった。彼らはひどい野心もなく、自分のつとめを程よく守り、
分相応の待遇を世から受ければ十分幸福な人々で、生活的には現状維持派であり、現実生....
「お茶漬けの味」より 著者:北大路魯山人
いうのは、その人の育った環境のせいであるから、これをいたずらに曲げてはならない。
分相応でなければならぬ。もしそうでなければ、食いものの話はできない。口福は得られ....
「料理する心」より 著者:北大路魯山人
命でありますならば、食器はお料理の生命であると言えましょう。食器の上等、下等も、
分相応に考えなければなりませんが、大きさ、深さの形、いろどり等を料理に合わして調....