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切って
「切って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切っての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
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中村玄道《なかむらげんどう》はしばらく言葉を
切って、臆病《おくびょう》らしい眼を畳《たたみ》へ落した。突然こんな話を聞かされ....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
なんだ。いや、二月《ふたつき》ほど前《まえ》までは檀那だったんだ。今じゃ全然手を
切っているが、――」
「へええ、じゃあの若槻という人は、――」
「僕の中学時代の....
「影」より 著者:芥川竜之介
一生懸命に打ち消して見ても、だんだん強くなるばかりである。
房子はとうとう思い
切って、怖《こ》わ怖《ご》わ後《うしろ》を振り返って見た。が、果して寝室の中には....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《ななめ》に彼を見た勝美《かつみ》夫人の眼が、余りに露骨な艶《なまめ》かしさを裏
切っているように思われたのは、果して私の邪推ばかりだったでしょうか。とにかく私は....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
うずども》の上にも、影響した。しかし、この影響は結果において彼等の予想を、全然裏
切ってしまう事に、なったのである。何故と云えば坊主共は、金が銀に変ったのを見ると....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
めいた匂を送って来る。
二人の間の話題は、しばらく西太后《せいたいこう》で持ち
切っていたが、やがてそれが一転して日清《にっしん》戦争当時の追憶になると、木村少....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
かと待っていたのである。役人はまた処刑《しょけい》の手間どるのに、すっかり退屈し
切っていたから、話をする勇気も出なかったのである。
すると突然一同の耳は、はっ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
と心中に浮んで来た。如何に彼は、この記憶の中に出没するあらゆる放埓の生活を、思い
切って受用した事であろう。そうしてまた、如何に彼は、その放埓の生活の中に、復讐の....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
したよ。」
「そうか。そんなら美津のやつ、そう云えば好いのに。」
洋一は電話を
切ってから、もう一度茶の間へ引き返そうとした。が、ふと店の時計を見ると、不審《ふ....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
精神を発揮しますよ。しかもそれを当事者自身は何か英雄的行為のようにうぬ惚《ぼ》れ
切ってするのですからね。けれどもわたしの恋愛小説には少しもそう云う悪影響を普及す....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
にぐいぐい押しつけて行く所がある。尤もその押して行く力が、まだ十分江口に支配され
切っていない憾もない事はない。あの力が盲目力でなくなる時が来れば、それこそ江口が....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
めに綴るのだ。 私は素朴な両親にそだてられた。彼らは何ごとに依らず物ごとを信じ
切っていた。私もやはり両親のように物ごとを信じて疑わなかった。 永いあいだ私は....
「初雪」より 著者:秋田滋
に、この古色蒼然たる屋敷も、幾世紀かの年月を閲するうちに、いつしか、つめたく冷え
切ってしまったように思われるのだった。彼女はとうとう堪りかねて、ある晩、良人に頼....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
。 よく雛形を持ち出して説明をした。雛形は紙や木で作ったこともあるが、馬鈴薯を
切って作ったこともある。 ファラデーの一生は冒険もなく変化もない。年と共に発見....
「寡婦」より 著者:秋田滋
のですが、まもなく、その娘が側にいなければ片時も我慢が出来ないと云うほど、のぼせ
切ってしまったのでした。同じ屋敷に住んでいた娘さんと養女も、そうしたことを何でも....