切ない[語句情報] » 切ない

「切ない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

切ないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
しろ》を見せた、西洋髪《せいようがみ》の女が一人、――それが皆冷やかな光の中に、切ないほどはっきり映っている。女はそこにさっきから、縫物《ぬいもの》か何かしてい....
忠義」より 著者:芥川竜之介
ど》や、天井の四隅《よすみ》までが、丁度|刃物《はもの》を見つめている時のような切ない神経の緊張を、感じさせるようになった。 修理《しゅり》は、止むを得ず、毎....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の(個性全体の)衝動によってその少女を欲するなら、あなたは先ずその少女にあなたの切ない愛を打ち明けるだろう。そして少女が若しあなたの愛に酬いるならば、その時あな....
星あかり」より 著者:泉鏡花
ら、おしつけられるような、しめつけられるような、犇々と重いものでおされるような、切ない、堪らない気がして、もはや! 横に倒れようかと思った。 処へ、荷車が一台....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
て、 「くッ、苦しい……うッ、うッ、うッふふふ、チ、うッ、うううう苦しい。ああ、切ない、あはははは、あはッはッはッ、おお、コ、こいつは、あはは、ちゃはは、テ、チ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ういうのか、その文句を忘れたんです。 年を取るに従うて、まるで貴僧、物語で見る切ない恋のように、その声、その唄が聞きたくッてなりません。 東京のある学校を卒....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
また月の良い晩でした。ああ、今の御主人が、親切なだけなお辛い。……何の、身体の切ない、苦しいだけは、生命が絶えればそれで済む。いっそまた鳥羽へ行って、あの巌に....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ら大雷大風であった。 四十一 と、突立ったまま、苦い顔、渋い顔、切ない顔、甘い顔、酔って呆けた青い顔をしていた。が、頬へたらたらと垂れかかった酒....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
あの容色で家の仇名にさえなった娘を、親身を突放したと思えば薄情でございますが、切ない中を当節柄、かえってお堅い潔白なことではございませんかね、旦那様。 漢方....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
を引合わせなどしたのであるが、心には、恐ろしい夢にこうまで疲労して、息づかいさえ切ないのに、飛んだ身体の世話をさせられて、迷惑であるがごとき思いがした。 且つ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
目になったと思うまい、目が見えないたあいうまいと、手探の真似もしないで、苦しい、切ない思をするのに、何が面白くッてそんな真似をするんだな。されるのはこっちが悪い....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
柑の色と――すべては汽車の窓の外に、瞬く暇もなく通り過ぎた。が、私の心の上には、切ない程はっきりと、この光景が焼きつけられた。そうしてそこから、或得体の知れない....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
を溢して、 「やれやれ綺麗な姉さんが台なしになったぞ。あてこともねえ、どうじゃ、切ないかい、どこぞ痛みはせぬか、お肚は苦しゅうないか。」と自分の胸を頑固な握拳で....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
塩焼に、一杯無心する便宜はありません。いくら俳諧師だといって、昼顔の露は吸えず、切ない息を吐いて、ぐったりした坊さんが、辛うじて……赤住まで来ると、村は山際にあ....
活人形」より 著者:泉鏡花
来た。と肩に手を懸け引起し、移ろい果てたる花の色、悩める風情を打視め、「どうだ、切ないか。永い年月よく辛抱をした。豪い者だ。感心な女だ。その性根にすっかり惚れた....