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切れ端
「切れ端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切れ端の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
どの紙屑の渦の中にも、きっと赤い紙屑が一つある――活動写真の広告だとか、千代紙の
切れ端だとか、乃至《ないし》はまた燐寸《まっち》の商標だとか、物はいろいろ変《か....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
の鐘《かね》ヶ|淵《ふち》や、綾瀬《あやせ》の面かげは石炭殻の地面の間に、ほんの
切れ端になってところどころに残っていた。綾瀬川の名物の合歓《ねむ》の木は少しばか....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
生活は苦しそうだったが、服装はきちんとしていた。 「折角《せっかく》の学問の才を
切れ端にして使い散らさないように――」 と始終忠告していた父が、その実意からし....
「世相」より 著者:織田作之助
が、なお割り切れぬものが残った。円い玉子も切りようで四角いとはいうものの、やはり
切れ端が残るのである。欠伸をまじえても金銭に換算しても、やはり女の生理の秘密はそ....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
飛び出ているんです――で、つまりその釘の頭と里程標の両方に、それぞれ普通の藁縄の
切れ端が着けられたままで残っておりました。 「……で、要するに」と保線課員が最後....
「食魔」より 著者:岡本かの子
本能に縋り通して行こうとしているのか。 お絹のこころに鼈四郎がいい捨てた言葉の
切れ端が蘇って来る。「世は遷り人は代るが、人間の食意地は変らない」「食ものぐらい....
「ニッケルの文鎮」より 著者:甲賀三郎
稿を盗み出すつもりです。 それで、かねて古田の手から奪い取った彼の翻訳の原稿の
切れ端を、手早く書物の間に挟んで、それを証拠に古田の来た事をいいたてたのですが、....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
は草が茫々と生えていました。 私は中へ這入りまして水を汲み上げるのに邪魔な樹の
切れ端などを取除き、玄蕃桶で水を汲み初めますと、暫くして桶に当るものがあります。....
「骨董」より 著者:幸田露伴
なめあなめの歌、孔子様の讃が金で書いてある顔回の瓢、耶蘇の血が染みている十字架の
切れ端などというものを買込んで、どんなものだいと反身になるのもマンザラ悪くはある....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
ことと思われる。彼女の繊細《せんさい》なる手首が紐でこすられて血が出、それが紐の
切れ端に残ったことは確かだ。こうして彼女は、遂に敗れて一命《いちめい》を失ったも....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
である。胃袋や肝臓や心臓や肺臓が、いちいちそれとハッキリ分る。もし地面の上に腸の
切れ端が落ちていたとして、それを見つけた自分が何だろうと思っていぶかっているうち....
「郷愁」より 著者:織田作之助
吉は頼っておられなかったのだ。よしんば、その公式で円い玉子が四角に割り切れても、
切れ端が残るではないかと考えるのだ。 新吉は世相を描こうとしたその作品の結末で....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
けれどもそんな物はございませんといっても、これだけ大勢の食事を拵えるのに、大根の
切れ端くらいないはずはないとおっしゃるので困りました」というのです。 「おばあ様....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
円になるのは幾何学の夢に過ぎない。円い玉子も切りようで四角いとはいうもののやはり
切れ端が残るのである。われわれが一人の人間に下したいかなる解釈も、あたかもすべて....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
が云うにびっくりして、汝はいつからそこにいた、と云いながら見れば、四分板六分板の
切れ端を積んで現然と真似び建てたる五重塔、思わず母親涙になって、おお好い児ぞと声....