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切迫
「切迫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切迫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
読ませていた。が、お鈴の顔を見ると、いきなり「お芳か?」と声をかけた。それは妙に
切迫した、詰問に近い嗄《しゃが》れ声《ごえ》だった。お鈴は襖側《ふすまがわ》に佇....
「母」より 著者:芥川竜之介
る》を噛んだ。見れば蒼白い頬《ほお》の底にも、眼に見えない炎《ほのお》のような、
切迫した何物かが燃え立っている。震《ふる》える肩、濡れた睫毛《まつげ》、――男は....
「路上」より 著者:芥川竜之介
りこんで、いきなり卓子《テエブル》越しに俊助の手をつかまえると、
「おい。」と、
切迫した声を出した。
俊助は返事をする代りに、驚いた眼を挙げて、ちょいと大井の....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
に相違ございません。しかし事情はこれを書かなければ、もう一刻の存在も苦痛なほど、
切迫して参りました。ここで私は、ついに断乎たる処置を執る事に、致したのでございま....
「星座」より 著者:有島武郎
はたしかなのだ。園が何んと返事をするかと人見はそれに興味をさえかけた。
「だいぶ
切迫して必要なの」
とややしばらくして園がはじめて顔を上げて静かに人見を見た。....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
たときの賞として彼らに対する主権を与えるという約束を仲間の神々たちに求めた。事態
切迫の際この望みは容れられたので、彼は弓と槍と稲妻という武器を提げてティアマート....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
ましても、人類の前史は将に終ろうとしていることは確実であり、その年代は数十年後に
切迫していると見なければならないと思うのであります。今は人類の歴史で空前絶後の重....
「火星兵団」より 著者:海野十三
ている地球は、遠からずして、崩壊するであろう。従って、わが人類にとって一大危機が
切迫していることを、まず何よりも、はっきり知っていただきたい」
と言って、ここ....
「火薬船」より 著者:海野十三
ない、竹見をしてこのノーマ号に停まらせた理由があった。 それは外でもない。この
切迫した世界情勢の下において、香港の南方を、変な国籍の船が火薬を満載して、うろう....
「女客」より 著者:泉鏡花
うのを、お民は激しく聞くのであろう、潔白なるその顔に、湧上るごとき血汐の色。 「
切迫詰って、いざ、と首の座に押直る時には、たとい場処が離れていても、きっと貴女の....
「J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
思って感心した。しかしこの一章は、もともと研究的色彩に富んでいるもので、そういう
切迫した雰囲気とは全然切り離し、独立的に取出して来てみても充分に読み応えはあろう....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
までにもかれこれと年季を増して、二年あまりの地獄の苦がフイになっている上へ、もう
切迫と二十円。 盆のことで、両親の小屋へ持って行って、ものをいう前にまず、お水....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
してベロンベロンと秘蔵の琵琶を掻鳴らす時の椿岳会心の微笑を想像せよ。恐らく今日の
切迫した時代では到底思い泛べる事の出来ない畸人伝中の最も興味ある一節であろう。 ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
の頃二葉亭はマダ部屋住であって、一家の事情は二葉亭の自活または扶養を要求するほど
切迫しているとは岡目には見えなかった。左に右く土蔵附きの持家に住っていた。シカモ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
る進歩は、絶対平和を余儀なからしむるに最も有力なる原因となるべく、その時期は既に
切迫しつつあるを思わしむ。 三 戦争の指導、会戦の指揮等は、その有する二傾向の間....