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初旅
「初旅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
初旅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
峠《つたもみじうつのやとうげ》」のあの文弥殺しの場面を憶い起して、婚約中の男女の
初旅にしては主人はあまりに甘くない舞台を選んだものだと私は少し脅《おび》えながら....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
梁に宛てた手紙を書いてくれて、これを持って行けばきっと面倒を見てくれると言った。
初旅であるから気をつけろと、道中の心得などもいろいろ言い聞かしてくれた。旅の支度....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
でなされませんか」 「いや、御迷惑とはこちらで申すこと、実はわたくしも奥州道中は
初旅で、一向に案内が知れないので、心ぼそく思っていたところでございますから、御一....
「河明り」より 著者:岡本かの子
は市中で昼食後の昼寝時間の過ぎるのを待った。 叔母はさすがに女二人だけの外地の
初旅に神経を配って、あらゆる手蔓を手頼って、この地の官民への紹介状を貰って来て私....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
た。私が木曾の姉の家に一夏を送った時には君をも伴った。その時がたしか君に取っての
初旅であったと覚えている。私は信州の小諸で家を持つように成ってから、二夏ほどあの....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
んはしきりに襦袢の袖で老いの瞼をおしぬぐっていたが、いよいよ兄弟の子供が東京への
初旅に踏み出すという朝は涙も見せなかった。 当時は旅もまだ容易でなかった。木曾....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
あれの土産話でも、たのしみにして待っている事に致しましょう。それにつけてもあれも
初旅、なりばかり大きくてもまだほんの子供ゆえ、諸事よろしくたのみますぞ。」と親の....
「母への追慕」より 著者:上村松園
ても出来なかったのである。 昭和十六年の中支行きは、そのような訳で私にとっては
初旅といっていいものである。 私が十歳位のころである。 母は三条縄手を下った....
「初旅」より 著者:寺田寅彦
幼い時に両親に連れられてした長短色々の旅は別として、自分で本当の意味での
初旅をしたのは中学時代の後半、しかも日清戦争前であったと思うから、たぶん明治二十....
「海水浴」より 著者:寺田寅彦
じたような郷愁を感じたことはなかったようである。一つにはまだ年が行かない一人子の
初旅であったせいもあろうが、また一つには、わが家があまりに近くてどうでも帰ろうと....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
わけです。」 「九州は初めてですか。」 「博多までは知っていますが、それから先は
初旅です。」 「それでは面白いでしょう。」と、博士は微笑した。「私は九州の生れで....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
は?」
「もう、立ったであろう」
「この雨の中を――」
「可哀想じゃが――」
「
初旅に――」
「お前は、いつ立つ」
「左様――浪士を集めて、敵党の手配りを調べて....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
は酒井家の領地巡検使という役目を初めて承わり、飛地の伊豆は田方郡の諸村を見廻りの
初旅というわけで、江戸からは若党一人と中間二人とを供に連れて来たのだが、箱根風越....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
した。その後古社寺保存会の用件で、私は幾度奈良京都に出張したか知れませんが、この
初旅の時が一番正直に見て来ております。いろいろその時にスケッチなどしたものが今日....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
脚はまるでなし。……(これ、兄や、こなた馬は曳けるかの、大丈夫じゃろうかの。私は
初旅じゃ。その上馬に乗るも今度がはじめてじゃ。それにの、耳はよう聞えずの。……頼....