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初発
「初発〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
初発の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
「貴方は、この室にどうして調度が少ないのか、お訊きになりたいのでしょう」鎮子が最
初発した言葉が、こうであった。
「今まで、空室だったのでは」と検事が口を挾むと、....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
天国の報い、地獄の責めがなんだ。 見よ、天の書を、創世の主は あることはみんな
初発の日に書いたんだ。 (32) 宇宙の真理は不可知なのに、なあ、 そんなに....
「一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
をあけた。 その夜十一時すぎの上りで自分は東京へ向った。新宿へ降りたのは省電の
初発が出てまだ間のない早朝であった。駅のプラットフォームのまだどこやら寒く重たい....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
、修業の功を積し上、憤発の勇を加えしなれば冴し腕は愈々冴え鋭き刀は愈鋭く、七歳の
初発心二十四の暁に成道して師匠も是までなりと許すに珠運は忽ち思い立ち独身者の気楽....
「私も一人の女として」より 著者:宮本百合子
しみはすべての男女の心にある。もし私達が、現実の重みに屈せず、生きる権利とともに
初発的な人類の権利であるより幸福な人間らしい生活への具体的探求をつづけ、その探求....
「日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
。藤原氏の手から政権を収めていた平氏が破れて、源氏が鎌倉に拠ると、元暦元年十月を
初発として鎌倉に地震が頻発した。それは王朝時代には僻遠の地として、武蔵、相模の名....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
極めて平和なる問答になるのです。 五十 駒井甚三郎は、まず、
初発音に於て、この異人氏が英語は話すけれども英人でないことを知り、話してみると、....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
好い。中途で下りるのは自己の勝手だから、定めの船賃は返さない。かような関係から最
初発航した港から次の港へ着くまでは、聊かの風波があればこれに乗じてなるべく船の動....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ドストイェフスキーなんかにしろ、人間のそういう感情はいつも暗さを伴っていました。
初発的とでもいうのか、あの時代には何だか感情はそれだけで暴威をふるったのね、人間....
「火の扉」より 著者:岸田国士
へ着くと、もう夜は白々と明けはじめていた。 汽車がわずか遅れたために、飯田線の
初発は出てしまつたあとで、康子はその次ぎを待つために駅前の茶店でひと休みしようか....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
の進展成熟であり、例えば夢殿の救世観世音像に見るようなあの言語道断な、真剣な魂の
初発性は見られない。 天平期の完成に伴う諸弊害を一掃せられた英邁な桓武天皇の平....
「院展日本画所感」より 著者:和辻哲郎
て、ただ画面上の注意のみによって描かれたものであろう。個々の麦のおのおのに画家の
初発的な注意や感情がこもっているとは、どうしても感ぜられない。いわんやあの麦畑の....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
今日の仏教とインドの仏教と同一ならざるの結果を生ずるに至れり。例えば、草木はその
初発のときとその成長の後とは、同一の形状を有するにあらざるも同一の草木なり。もし....
「上海」より 著者:横光利一
光らせながらいった。「今度の事件はなかなか厄介で困ったね。東洋紡の日本社員は、最
初発砲して支那人を殺したのは印度人だと頑強にいってるが、ああいうことを頑強にいわ....
「母子像」より 著者:久生十蘭
十月八日の朝の六時前後、相模線の入谷駅の近くの路線をフラフラ歩いていて、あぶなく
初発の電車にひかれるところでした」 一座が沈黙して、しばらくは枯野をふきめぐる....