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初老
「初老〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
初老の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仇討三態」より 著者:菊池寛
故郷の空が、矢も楯もたまらないように恋しかった。二十二で、故郷を出た彼は、すでに
初老に近かった。母が恋しかった。安易な家庭生活が恋しかった。無味単調な仇討の旅に....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
知した。父は鏡子の明治型の瓜実顔の面だちから、これを日本娘の典型と歓び、母は父が
初老に近い男でも、永らく外国生活をして灰汁抜けのした捌きや、エキゾチックな性格に....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
じゃ。めでたいめでたい! アッハハハ」 八 内藤駿河守正勝は
初老を過ごすこと五つであったが、性|濶達豪放で、しかも仁慈というのだから名君の部....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
したひと皮がある。そのせいか逸作も太陽が好きだ。何処といって無駄な線のない顔面の
初老に近い眼尻の微かな皺の奥までたっぷり太陽の光を吸っている。風が裾をあおって行....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
結局木像を意味しているのではないだろうか※ すると、像の不思議な後光に打衝って、
初老期の禁ぜられた性的願望が、如何なる症状に転化して行ったか――その行程が明瞭に....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
きをしてその鏡に見惚れているかと、わたしに問いかけているのであった。その男はもう
初老以上の年輩の紳士で、その声音や眼つきがいかにも温和な感じをあたえたので、私は....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
れから教えられた所へたずねて行くと、主人のJ氏は都合よく在宅であった。J氏はもう
初老を過ぎた人で、理智に富んでいるらしい風貌と、人好きのするような態度をそなえて....
「影のない犯人」より 著者:坂口安吾
って、神妙だからねえ」 「しかし、玄斎先生のほかにもう一人、花子夫人に云い寄った
初老の人がある。芸術家だね。彫刻をやっておる。しかし、気をせかせるばかりで、言説....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
が、同じな場合には、前の二つが消えてしまうんだよ。つまり、この二つの玻璃房は、最
初老人の首が掛ったときには振動するが、それから撚目が、行き詰りまでゆく間には、し....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
ござります。へい」と云って頭を下げた。 見れば主人の背後にあたって、威厳のある
初老の立派な武士が、気軽にニコヤカに微笑しながら、部屋を覗くようにして立っていた....
「小林さんと私のツキアイ」より 著者:坂口安吾
ではじめて女給という商売について我々にビールをついでくれたワケだが、それが今では
初老に近い大姐さんになって、今も銀座裏のプーサンだのブーケというところでメートル....
「反省の文学源氏物語」より 著者:折口信夫
氏が他人からされることになって来る。譬えば、源氏が若い頃犯した恋愛の上の過ちが、
初老になる頃、其最若い愛人の上に同じ形で起って来る。源氏は今更のように、身にしみ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
定家はすでに四十一であった。定家がその青年期壮年期に殆ど出世ということをしないで
初老を迎えたのだから、その間に焦燥し憂悶したのは尤もで、『大日本史歌人列伝』に、....
「女靴下の話」より 著者:西東三鬼
フが「おかえんなさいまし、エヘヘ」であつた。どさくさまぎれの朝酒が夕酒になる頃、
初老の悪童のろけていうには、輓近二十二歳の愛人を得て昼夜兼行、多々ますます弁じて....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
だけについていっても、例えば私のように、血気な青年だったものがいつかすでに半白の
初老に変じたものもあろうし、中年の壮者が白髪の老者に化し、又白髪の老者がいつかそ....