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利かす
「利かす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
利かすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
いう名を捨てて掛っている。与太者としての顔を、敗戦後のどさくさまぎれの世相の中で
利かすことをむしろ軽蔑し、わざとグッドモーニングの銀ちゃんなどという安っぽい綽名....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
からだを拭くんだから」 「あい、あい」 「姐さんがいないと思って乙《おつ》う幅を
利かすね」と、お若はお花のうしろ姿を見送って言った。 「へん、馬鹿にしていやあが....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
である。一つには、彼女は苦しいほど幸福といっても良い気持をもて余して、豹一に口を
利かす余裕も与えないくらい、ひとりで喋り出したからである。 文学趣味のある紀代....
「縮図」より 著者:徳田秋声
もらっていたが、分けの芸者なので、丸抱えほど縛られてもいず、玉代にいくらか融通を
利かすことも、三度に一度はしていた。長岡とか修善寺などはもちろん、彼の顔の利く管....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
来た。新吉が出てしまうと、お作は良人にいいつかったことのほか、何の気働きも機転も
利かすことが出来なかった。酒の割法が間違ったり、高い醤油を安く売ることなどはめず....
「足迹」より 著者:徳田秋声
を利かなかった。お庄には若い夫婦の傍にいつけて、理窟っぽくなっているこの女の幅を
利かすほど、煮物や汁加減が巧いとは思えなかった。学校出の御新造を笠に被て、お上品....
「道徳の観念」より 著者:戸坂潤
何か一定の決った又判った領域だと仮定する。事実又吾々は日常、常識に対しては融通を
利かすという特権を許しているので、之が一応立派に通用するのだ。で今、道徳が法律や....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
、もってます」 「もってはいかん」 「はい」 それ以来、この中堅会が、羽振りを
利かすようになって、四年になった時 「五年は、来年卒業するから、もう、学校には縁....
「罌粟の中」より 著者:横光利一
か、梶には少し単調にすぎて塩辛かった。原野の強烈な色彩の中で育った調味法は、塩を
利かす工夫に向けられるのも、自然な生理であろうと梶はのべたが、実は、料亭そのもの....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
凸凹爺であった。社会の公民としては何等の位置も権力も無かったのである。渠等が幅を
利かすは本屋や遊里や一つ仲間の遊民に対する場合だけであって、社会的には袋物屋さん....
「物質とエネルギー」より 著者:寺田寅彦
もはや人間というものは宇宙の片隅に忘れられてしまって、少数の観念と方則が独り幅を
利かすようになって来るのである。しかもこの大系統は結局人間の産物であって人間現在....
「雁」より 著者:森鴎外
のである。 容貌はその持主を何人にも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を
利かすことは出来ない。そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
かと言えば直ぐヤマユリを持ち出すけれど、このヤマユリの名は近代において普通に幅を
利かすようになったものである。それ以前は前記の通り料理ユリなどの名で呼んでいたの....
「握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
ならなかった御面相が、口紅、爪紅、ハイヒールで堂々と寿司通仲間に侵入し、羽振りを
利かす時代になってしまった。昔ならほとんど見られなかった風景である。この調子では....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ザベスの好まぬところだった。銃砲の音が神経にさわったばかりではない、海峡に睨みを
利かす港が、スペイン人に占領されることになれば、明らかに不便利だったからである。....