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利し
「利し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
利しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たとも。鉄砲巻は山に積むし、近所の肴屋から、鰹はござってら、鮪の活の可いやつを目
利して、一土手提げて来て、私が切味をお目にかけたね。素敵な切味、一分だめしだ。転....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
もって生業す、これを国という、しかして国人みなその幸福を享けんと欲すれば、必ず相
利して相害せざるの理によらざるを得ず、これを倫理という、倫理すでに明らかなり、こ....
「運命」より 著者:幸田露伴
盧振と気脈を通ぜしめ、北平|都指揮張信というものゝ、燕王の信任するところとなるを
利し、密勅を下して、急に燕王を執えしむ。信は命を受けて憂懼為すところを知らず、情....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
るを見る。これ必ずしも理髪師の風流のみではないが、待合わす人の眼を楽しましむるに
利して兼ねてかれらの俳趣味をも養うものであるのだ。 さるはまた床屋のみでない、....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
ったか、窃かに川を渡って逃げた跡へ村方の百姓衆が集って来ましたが、何分にも刃物は
利し、斬人は水司又市で、お山は余程の深傷でございますから、もう虫の息になって居る....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
狭隘さとピントの狂いとがあったわけだ。
こうやって、マルクス主義の「退潮期」を
利して現われたものが、この種の文化的自由主義という、新しい哲学の輪郭の如きものだ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
其の他による憲政擁護運動や、国会議事堂落成などが、今日一時的に新聞紙的自由主義を
利している。憲政擁護運動がもし大衆的な支持を得且つ議会期にまで持ち越せるのだった....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
だ世間で警官の犯行を特に不埒として感じるのは、巡査が巡査たる地位を逆用して犯行に
利しているという点なのである。こうした巡査の特権に就いての矛盾の感じが夫なのであ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た、どういうところへ書こうと、それは私の権利であります。」
「お前にはただ黙る権
利しかないんだ。私《わし》はお前たちに親切すぎた。お前の不品行やお前の父の不品行....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
出したものだから。」 「僕はそんな権利を信じません。人間には、人間になるだけの権
利しか認めません。これは僕が戦地で得てきた確信です。神になってもいけない、動物に....
「地方文化運動報告」より 著者:中井正一
かった。 或る日、書庫の整理に書塵に白くなっていた時、一人の青年が黙々と長身を
利して、高い書架の本を降ろしているのを発見した。 「君は誰だ」「広島高等学校のも....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
籍ものの浮浪にもひとしい生活をつづけていたことをも苦にせずに、かえってその境遇を
利して自由に振舞って来た。この女にはそんな経歴がある。もともと竜造寺氏の出だとい....
「ミミズ酒と美女」より 著者:佐藤垢石
剤として蚯蚓を煎じてのむ習慣がある。 また支那の医書に蚯蚓は諸熱を解し、小便を
利し、足疾を治すと書いてあるが、私の故郷上州では、蚯蚓に小便をかけると、オチンコ....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
には、公使始めこれに附随する一類の輩にも種々の人物ありて、この機会に乗じて自から
利し自家の懐を肥やさんと謀りたるものも少なからず。 その事実を記さんに、外国公....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
人々はみな五里霧中の思いをした。最初の瞥見では、いかにもエセックスが完全に勝
利したようにみんなの目に映った――ベエコンは早くも祝賀の手紙を送った。「私は、誰....