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「利他〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

利他の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野分」より 著者:夏目漱石
舌の援《たすけ》を藉《か》らねばならぬ。脳味噌《のうみそ》を圧搾《あっさく》して利他《りた》の智慧《ちえ》を絞《しぼ》らねばならぬ。脳味噌は涸《か》れる、舌は爛....
三四郎」より 著者:夏目漱石
と、露悪家同志がお互いに不便を感じてくる。その不便がだんだん高じて極端に達した時利他主義がまた復活する。それがまた形式に流れて腐敗するとまた利己主義に帰参する。....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
放射するエネルギーである代りに吸引するエネルギーである。 他のためにする行為を利他主義といい、己れのためにする行為を利己主義というのなら、その用語は正当である....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
大乗は複数です。小乗は「私」ですが、大乗は「我等」です。小乗は自利、大乗は自利、利他です。自利とは自覚、利他とは覚他です。自覚は当然覚他にまで発展すべきです。覚....
丸善と三越」より 著者:寺田寅彦
がっていると一口に言ってしまってもいいものだろうか。いったい普通に使われる利己と利他という二つの言葉ほど無意味な言葉は少ない。元来無いものに付せられた空虚な言葉....
蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
進出する事もあるし、自分の自由を尊重すると同時に人の自由を尊重するという意味では利他的である。反対に乙型の人間から見れば甲型の人々は積極的なようではあるが、また....
沓掛より」より 著者:寺田寅彦
て、また次の花を求めては移って行くのである。自然界ではこのように、利己がすなわち利他であるようにうまく仕組まれた天の配剤、自然の均衡といったようなものの例が非常....
十二支考」より 著者:南方熊楠
潜《くぐ》って牛に著いた蠅を食う。天の経済に長ぜるかかる縁遠き二物をして各々自利利他せしむと書いて、利はよく他人同士を和せしむというたは、義は利の和なりてふ支那....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
なる価値をこの接触の上に払い、互いに熱涙を注いで喜んだであろう。しかし一度利己、利他という意識が萌したときわれらは少なからず動揺した。惨澹たる思索の果て、ついに....
学生と教養」より 著者:倉田百三
主義かの問題は倫理学上の根本問題である。 つぎに人性の千古の悩みである利己か、利他かの問題がある。利己主義には深い根拠があり合理的に、正直に思索するときには誰....
政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
る権利までも提供して自分たちのために奉仕させることを目的とするがゆえに、必然的に利他ということを道徳の基礎理念とする。 しかもこの利他ははなはだしく一方的のも....
」より 著者:森鴎外
すようにして人の妾になった。そしてそれを堕落せられるだけ堕落するのだと見て、その利他的行為の中に一種の安心を求めていた。しかしその檀那と頼んだ人が、人もあろうに....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
めにもなる光明と歓喜にあふれたものになって来るのであります。この状態を、「自利、利他心平等」と言って、自分をよくし、他人をも同時に同じようによくするのですから、....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
するもので、灰身滅智を結局の目的としている。すなわち自利の行者である。菩薩の如く利他の大行を行じて、結局は仏果を得るものというのとは、大いに選を異にしているので....
それから」より 著者:夏目漱石
ったつ》するんだから、毫《ごう》も根本的の意義を有していない。しかのみならず、今利他本位でやってるかと思うと、何時《いつ》の間にか利己本位に変っている。言葉だけ....