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刺
「刺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
も膝のあたりにはちゃんと扇面を控えていた。ただ、咄嗟《とっさ》の際にも私の神経を
刺戟したのは、彼の左の手の指が一本欠けている事だった。私はふとそれに気がつくと、....
「影」より 著者:芥川竜之介
えてしまった。が、興奮した陳の神経には、ほどなく窓をしめる音が、鼓膜《こまく》を
刺すように聞えて来た。その後には、――また長い沈黙があった。
その沈黙はたちま....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《い》いじゃないか。』私はこう云う三浦の言《ことば》の底に、何か針の如く私の耳を
刺すものがあるのに気がつきました。が、夕暗の中に透《すか》して見ると、彼は相不変....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
が甚だ平凡だよ。」
もう酔《よい》のまわった牧野は、初めの不快も忘れたように、
刺身《さしみ》なぞを犬に投げてやった。
「あら、あの犬によく似ているじゃありませ....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
いと、云われた後《あと》では、のみなれた煙草の煙までがいつもより、一層快く、舌を
刺戟《しげき》するような気さえ、したのである。
二
斉広《....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
かに思い浮べることがある。それは従来の経験によると、たいてい嗅覚《きゅうかく》の
刺戟から聯想《れんそう》を生ずる結果らしい。そのまた嗅覚の
刺戟なるものも都会に住....
「女」より 著者:芥川竜之介
首もとへ跳《おど》りかかった。蜂は必死に翅《はね》を鳴らしながら、無二無三に敵を
刺《さ》そうとした。花粉はその翅に煽《あお》られて、紛々と日の光に舞い上った。が....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
もなく動き、流るるともなく流れる大川の水の色は、静寂な書斎の空気が休みなく与える
刺戟《しげき》と緊張とに、せつないほどあわただしく、動いている自分の心をも、ちょ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
よく休んでお出でだったけれど、――」
ひどく厭な気がしていた彼は金口を灰に突き
刺すが早いか、叔母や姉の視線を逃れるように、早速長火鉢の前から立ち上った。そうし....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
う云うものでございますか?」
女はいままでのつつましさにも似ず、止《とど》めを
刺《さ》すように云い放った。
「わたくしの夫、一番《いちばん》ヶ|瀬《せ》半兵衛....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ですね。」
Nさんはバットに火をつけた後《のち》、去年水泳中に虎魚《おこぜ》に
刺《さ》された東京の株屋の話をした。その株屋は誰が何と言っても、いや、虎魚《おこ....
「墓」より 著者:秋田滋
身の毛のよだつような行為を傍聴人の念頭にまざまざと想い起させて、頻りにその感情を
刺戟した。忿怒の身顫いが傍聴人たちの間をつたわって行った。論告を了って検事が着席....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
これを焔に入れて紫の光を出して、見せてやったりする。 もし外国の学者でも来て名
刺を通ずると、ファラデーは実験を中止し、今まで出た結果をちょっと石盤に書きつけて....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
くのだが、この妖怪が出そうな時刻には、自然界のもの音はみな、彼の興奮した想像力を
刺戟した。丘の斜面から聞えてくるウィッパーウィル(原註)の鳴く声。雨蛙の不吉な声....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
る。それは、自由な、何よりすぐれた、自分の心を思うままにすることが出来る、上品な
刺戟を求めている人にあっては、どんなにかふさわしい、どんなにか好い、どんなにか珍....