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刺す
「刺す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刺すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、わたしたれを殺してもいい。」
このことばの中には、蝎《さそり》のように、人を
刺すものがある。次郎は、再び一種の戦慄《せんりつ》を感じた。
「しかし、兄きは―....
「影」より 著者:芥川竜之介
えてしまった。が、興奮した陳の神経には、ほどなく窓をしめる音が、鼓膜《こまく》を
刺すように聞えて来た。その後には、――また長い沈黙があった。
その沈黙はたちま....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《い》いじゃないか。』私はこう云う三浦の言《ことば》の底に、何か針の如く私の耳を
刺すものがあるのに気がつきました。が、夕暗の中に透《すか》して見ると、彼は相不変....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
よく休んでお出でだったけれど、――」
ひどく厭な気がしていた彼は金口を灰に突き
刺すが早いか、叔母や姉の視線を逃れるように、早速長火鉢の前から立ち上った。そうし....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
れた東京の株屋の話をした。その株屋は誰が何と言っても、いや、虎魚《おこぜ》などの
刺す訣《わけ》はない、確かにあれは海蛇《うみへび》だと強情を張っていたとか言うこ....
「或る女」より 著者:有島武郎
来のおためにきっとなりませんから」と何げなげにいってのけた。木部がその言葉に骨を
刺すような諷刺《ふうし》を見いだしかねているのを見ると、葉子は白くそろった美しい....
「或る女」より 著者:有島武郎
ッチをひねった。火の気《け》のない部屋《へや》の中は急に明るくなったけれども身を
刺すように寒かった。倉地の顔は酒に酔っているように赤かった。
「どうした顔色がよ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
れたりした。風に向った二人の半身は忽《たちま》ち白く染まって、細かい針で絶間なく
刺すような刺戟《しげき》は二人の顔を真赤にして感覚を失わしめた。二人は睫毛《まつ....
「星座」より 著者:有島武郎
もそう気にならなかったが、とにかく冬が紙一重に逼《せま》ってきた山間の空気は針を
刺すように身にこたえた。彼は首をすくめ、懐《ふとこ》ろ手をしながら、落葉や朽葉と....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
の香りの中を、やがてお着きなさいます。 美女 潮風、磯の香、海松、海藻の、咽喉を
刺す硫黄の臭気と思いのほか、ほんに、清しい、佳い薫、(柔に袖を動かす)……ですが....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
ん――関ちゃん――」私の名を、――誰も呼ぶもののないのに、その人が優しく呼んだ。
刺すよと知りつつも、引つかんで声を堪えた、茨の枝に胸のうずくばかりなのをなお忍ん....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
鋳掛……錠前の直し。)…… ちょっと顔を上げて見ましたっけ。直に、じっと足袋を
刺すだて。 動いただけになお活きて、光沢を持った、きめの細な襟脚の好さなんと言....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
知って、偶然にその人に雇われて賃銭を取る辛さは、蓑もあら蓑の、毛が針となって肉を
刺す。……撫肩に重荷に背負って加賀笠を片手に、うなだれて行く細り白い頸脚も、歴然....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
捨てておいて、選挙で多数を占むると―― (このとき暴漢がかけ上がり、浅沼委員長を
刺す。場内騒然) 〈以下は浅沼委員長がつづけて語るべくして語らなかった、この演説....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
し。 仕掛、座蒲団などを舳の間に持ち往きて、座を定め、水色を見ながら、錐打ち鈴
刺す快心、得も言われず。 漁『ランプの油やマッチは、受合だろうね。』 船『出る前....