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「削げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

削げの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
青白い生ものが水を掻いている。薫だ。薫は小初よりずっと体は大きい。顎や頬が涼しく削げ、整った美しい顔立ちである。小初はやにわに薫の頸と肩を捉えて、うす紫の唇に小....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
帽子の高庇の下から、青年の丸い広い額が現われ出すと、むす子に似た高い顎骨も、やや削げた頬肉も、つんもりした細く丸い顎も、忽ち額の下へかっちり纏ってしまって、セン....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
った人かのようで、精気もなければ血の気もない。透き通るような蒼い額からげっそりと削げた頬の辺|手頼りない寂しい陰影があって、見る人をして悲しませる。据えた瞳を当....
縮図」より 著者:徳田秋声
しく、何か言いたげに唇をぴくつかせるだけであった。彼女は頭も毬栗で、頬はげっそり削げ鼻は尖り、手も蝋色に痩せ細っていたが、病気は急性の肺炎に、腹膜と腎臓の併発症....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
という俚称は辛く残りながら、樹々は老い枯び痩せかじけて将に齢尽きんとし、或は半ば削げ、或は倒れかかりて、人の愛護の手に遠ざかれるものの、自然の風残雪虐に堪えかね....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
そこへ縛り附けられた。 「さあそろそろやろうじゃないか。血を出せ血を出せ! 肉を削げ肉を削げ!」 このオンコッコの合図と共に、社殿を廻っていた土人達は、杭の周....
短命長命」より 著者:黒島伝治
化して左肩からはすかいに亀裂がいり、刻みこまれた字は読み難いほど石がところどころ削げ落ちている。自分などよりは文学の上でも年齢の上でもかなり先輩だと思っていた春....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
の物音も聞えて来ない。 ただ一|穂の燈し灯と、それに照らさるる武蔵の青白く頬の削げた影とがあるだけであった。 今は、大寒の真冬であろう、黒い天井の梁も板じき....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
から里へ出て来るすがたを見るとほぼ察しがつく。 そんな時彼の面は鹿みたいに頬が削げている。五体のあらゆるところに、摺り傷だの打ち傷を作っていた。滝に打たれるの....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、油壺を取りに起った。 「……はての?」 枕に俯つ伏していた勘兵衛が、ふと肉の削げた顔をあげた。 その顔に、灯が冴えた。 新蔵は、油壺を持ったまま、 「何....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
く、隅にあったほの暗い灯皿の芯をかきたてて、じっと、薦僧のまばらに光る白い髯や、削げた頬を見つめていたが、 「あ。……青木丹左衛門どのじゃないか」 「おう、では....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
なり、また一名の真っ向へ撲り下ろした。骨にぶつかった刀の刃は、横に寝て、斜かいに削げたので、魚の切身ぐらいな肉片が、切っ先から素っ飛んだ。 「わ。や、やったな」....
私本太平記」より 著者:吉川英治
なさであった。 「これが、自分か」 日を追って、人相はけわしくなる。げッそりと削げてきた頬が、手にさえわかる。 「こんな鬼の顔。……ああ、ゆめ、卯木には見せた....