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前のめり
「前のめり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前のめりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
。
玉蜀黍殻《とうきびがら》といたどりの茎で囲いをした二間半四方ほどの小屋が、
前のめりにかしいで、海月《くらげ》のような低い勾配《こうばい》の小山の半腹に立っ....
「鮨」より 著者:岡本かの子
。だが、この場合は窪んだ腹に緊く締めつけてある帯の間に両手を無理にさし込み、体は
前のめりのまま首だけ仰のいて 「お母さあん」 と呼ぶ。子供の呼んだのは、現在の....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
て、針をあやつったのである。 縫えると、帯をしめると、私は胸を折るようにして、
前のめりに木戸口へ駈出した。挨拶は済ましたが、咄嗟のその早さに、でっぷり漢と女は....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
「源助、その事だ。」 「はい。」 と獅噛面を後へ引込めて目を据える。 雑所は
前のめりに俯向いて、一服吸った後を、口でふっふっと吹落して、雁首を取って返して、....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
ながら戸惑っていたが、不意に屈みこむと、 「おやッ。こいつァ……?」 と叫んで
前のめりになった。成る程木戸のすぐ内側には、ビール瓶のようなものが微塵に砕けて散....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
た。 その瞬間のことだった。不意に自動車がスピードを落し、ダダッと見る間に彼は
前のめりになって、思わず運転手の肩に手を突いた。――急停車だ。 ....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
旗田鶴彌氏が、白い麻の上下の背広をきちんと着て、腰は深く椅子の中に埋め、上半身は
前のめりになって額を小卓子の端へつけ、蝋細工の人形のように動かなくなっていた、卓....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
つきとばしたのだろうかと思ったが、そうでもないらしい。喜作はあいかわらず、すこし
前のめりになって、よたよたと足踏みをつづけている。お浜は狐に化かされたような気が....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
先に立って、一人男の連が居た。縞がらは分らないが、くすんだ装で、青磁色の中折帽を
前のめりにした小造な、痩せた、形の粘々とした男であった。これが、その晴やかな大笑....
「古狢」より 著者:泉鏡花
一つ所に固った、我が足がよろめいて、自分がドシンと倒れたかと思う。名古屋の客は、
前のめりに、近く、第一の銅鍋の沸上った中へ面を捺して突伏した。 「あッ。」 片....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
勝った八丈といった柄の着もの、紬か何か、絣の羽織をふっくりと着た。ふさふさの簪を
前のめりに挿して、それは人柄な、目の涼しい、眉の優しい、口許の柔順な、まだ肩揚げ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
か鼠の児かちょいとは分らぬ、天窓のひしゃげた、鼻と口と一所に突き出た不状なのが、
前のめりにぶくりと浮いて、膝を抱いて、呀! と一つ声を掛けると、でんぐりかえしを....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
みた、左の腕あたりに大きな焼穴のあるのを一枚|引掛けて、三尺の帯を尻下りに結び、
前のめりの下駄の、板のようになったのに拇指で蝮を拵えたが、三下という風なり。実は....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ゃ、人情ですよ。こけ勘はお里が知れまさ、ト楫棒へ掴った形、腰をふらふらさせながら
前のめりに背後から、 (愛吉さん、危え、危え。) ッて渋団扇で煽いだのは、どう....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
く云ってすれ違いながら、ふとその男の顔を見たんです。黒い大きな眼鏡と黒いマスク、
前のめりに被った帽子、それで顔の大半はかくされていますが、左の目の下から頬へかけ....