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前下り
「前下り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前下りの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖術」より 著者:泉鏡花
を反らして空模様を仰ぐ、豆売りのお婆の前を、内端な足取り、裳を細く、蛇目傘をやや
前下りに、すらすらと撫肩の細いは……確に。 スーと傘をすぼめて、手洗鉢へ寄った....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
しばらく耳をすましてもシンとしているので、伸子は足もとに気をつけて、いくぶん
前下り気味の工合のわるい階子を二三段下りて、下をのぞいた。半地下室には、湿気どめ....
「父杉山茂丸を語る」より 著者:夢野久作
白ッポイ着物に青い博多織の帯を
前下りに締めて紋付の羽織を着て、素足に駒下駄を穿いた父の姿が何よりも先に眼に浮か....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
しょう、悚然として、未だに寒気がしますもの。」 と肩を窄めて俯向いた、海水帽も
前下り、頸白く悄れて連立つ。 少年は顔を斜めに、近々と帽の中。 「まったく色が....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
小路を抜けようとして、薄暗い中に入って来たのは、一|人の美少年。 パナマの帽を
前下り、目も隠れるほど深く俯向いたが、口笛を吹くでもなく、右の指の節を唇に当て、....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
っている。 羽織なしの引かけ帯、ゆるやかな袷の着こなしが、いまの身じろぎで、片
前下りに友染の紅匂いこぼれて、水色縮緬の扱帯の端、ややずり下った風情さえ、杖には....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
から木屑《きくず》だらけになり、強い薬品で焼焦げになった古帷子《ふるかたびら》を
前下りに着て、妙なふうに両手をブランブランさせながら、 「ねえ、伝兵衛さん、実に....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ぎみが、何と、おでんの湯気に向って、中腰に膝を寄せた。寄せたその片褄が、ずるりと
前下りに、前刻のままで、小袖幕の綻びから一重桜が――芝居の花道の路之助のは、ただ....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
。足に少し力を入れたるに、図らず空中に飛び上り、およそ人の頭ほどのところを次第に
前下りに行き、また少し力を入るれば昇ること始めのごとし。何とも言われず快し。寺の....