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「前借り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前借りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
すむぎ》が売れた時事務所から直接に代価を支払うようにするからといって、麦や大豆の前借りをした。そして馬力を頼んでそれを自分の小屋に運ばして置いて、賭場《とば》に....
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
ばいきんだらけのくしゃくしゃ汚き紙片、できるだけむぞうさに手交して、宅のサラリイ前借りしたのよ、と小さく笑った萱野さんの、にっくき嘘、そんな端々にまで、私の燃ゆ....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
そで》を振りける? 魚は木に縁《よ》りて求むべからず、渠は他日の興行を質入れして前借りしたりしなり。 その一年、その二年は、とにもかくにもかくのごとき算段によ....
或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
を売り残しておいたただ一つの品物を思い出すようにして思いつかせた。爺はいくらかの前借りをして、鶴代を東京のある下宿屋へ女中奉公に出してやった。そして、自分は日雇....
三四郎」より 著者:夏目漱石
う一文も取るのはない」 「おかしいな。だって君はたしかにそう言ったぜ」 「なに、前借りをしようと言ったのだ。ところがなかなか貸さない。ぼくに貸すと返さないと思っ....
鰊漁場」より 著者:島木健作
夫が一番下座だった。漁夫たちはむっつりとふくれた顔をし、案外元気がなかった。 「前借りなんぼした?」 「うん、……八十両よ。あと十両しかのこんねえで。汽車賃にも....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
」 「ちげえねえ、独り寝さ。ゴロ寝だもの」 学生は十七、八人来ていた。六十円を前借りすることに決めて、汽車賃、宿料、毛布、布団、それに周旋料を取られて、結局船....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
「うむ、そうだ。ちょっと剣があるんだ。」 二三日してから、庸三はそれでも印税の前借りの札束を懐ろにして、再び病室を訪れた。彼はほかのことはともあれ、別れた場合....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
灯の下に、下関行きの急行列車が沢山の見送り人を呑みこんでいた。 「四五日内には、前借りをしますから、そしたら、送りますよ。しっかりして行っていらっしゃい。しょぼ....
六月」より 著者:相馬泰三
ろしているので小使いがなくなり、なくなりしてこの月になって社へちょくちょく月給の前借りをやりだし、今じゃもう月末になっても貰う分が一文も残っていない、それに下宿....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
した。ある日彼は、友の窮乏に驚いて、ふいとそのもとを去り、二時間後に、ヘヒトから前借りしてきた五フランの貨幣を数個、得意げに並べだした。オリヴィエは顔を赤らめて....
退歩主義者」より 著者:坂口安吾
貰うことだ。テメエなんざ、臨時雇いか見習いみたいなもんじゃないか。それに、千円の前借りがあるじゃないか。それを見逃してやるだけでも、有り難いと思いやがれ」 ま....
光は影を」より 著者:岸田国士
」 と、兄貴らしく二人を説得した。 彼は、遠矢幸造に、事情を話して、五万円の前借りを申し込んだが、三万円ならというので、しかたがなく、それだけ受けとつて、早....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
の下に、下ノ関行きの急行列車が沢山の見送り人を吸いつけていた。 「四五日内には、前借りをしますから、そしたら、送りますよ。しっかりして行っていらっしゃい。しょぼ....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
売先からの勘定は取れず、貸越し貸越しになり、それに引きかえ荷方からは頻りに勘定の前借りを申込まれる。小笹屋は河岸でも旧い問屋であり、父親の抜目の無い財産の建て方....