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前兆
「前兆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前兆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
この町の人々もそんなことは夢にも考えなかったと言うことです。若し少しでもその前に
前兆《ぜんちょう》らしいことがあったとすれば、それはこう言う話だけでしょう。何《....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ハビョウキ、スグカエレ」と書き直した。それでも「ワルシ」と書いた事が、何か不吉な
前兆《ぜんちょう》のように、頭にこびりついて離れなかった。
「おい、ちょいとこれ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
のが、何となく恐しいような気がしたのでございます。あるいは事によるとこれも、あの
前兆だったかも知れません。私は突然この恐しさに襲われたので、大時計を見た眼を何気....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
った》く時の運であろう。
そう云えば、細川家には、この凶変《きょうへん》の起る
前兆が、後《のち》になって考えれば、幾つもあった。――第一に、その年三月中旬、品....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
ばかような美女が片田舎《かたいなか》に生れたのも国が世がわり、代《だい》がわりの
前兆であろうと、土地のものは言い伝えた。
嬢様は帰るに家なく、世にただ一人とな....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
続問題などに際して幸運あるいは不幸の兆を示すものと信じられていた。こういう吉凶の
前兆は必ず事実となって現われるもので避けることは不可能であるが、しかし呪法や祈願....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
て来て、そのころ、しきりにそれを繰り返していたそうだが、妻は、それが今回のことの
前兆であったと、御幣をかついでいた。それももっともだというのは、僕が東京を出発す....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
袖畳みに懐中へ捻込んで、何の洒落にか、手拭で頬被りをしたもんです。 門附になる
前兆さ、状を見やがれ。」と片手を袖へ、二の腕深く突込んだ。片手で狙うように茶碗を....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
す。 (物干で、花見をしたり、藪の中を歩行いたり、やっぱり、皆こういう身体になる
前兆でしょう。よく貴下、お胸に留めて下さいました。姉さん、私もう一度緋色の帯がし....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
素白な姿の者が、ちょうどその屋根の上あたりを走るのを、汐見橋の上で見た者がある、
前兆だなんて種々なことを謂ったもんです。 ようよう夜が夜の色になって、湿っぽい....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
せ、豆腐屋の遁腰を怯したのが、焼ける前から宵啼という忌わしいことをした。火沙汰の
前兆である、といったのが、七日目の夜中に不幸にして的中した事と。 当夜の火元は....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ざ伊予紋まで鏡を持して寄越すってことは容易でない。それを持して寄越したのも何かの
前兆、私が受取らないで女の先生を帰したのも、腕車の破れたのも、車夫に間違えられた....
「妖怪学」より 著者:井上円了
、よく人の知るところなり。彗星、日蝕、地震等の天変あるときは、人事上の吉凶禍福の
前兆なりとなす。例えば、『漢書』に、「哀帝建平二年、彗星の出ずるありしに、当時|....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
るのでありましょう。たとえば、月が暈をかぶれば雨であるとか、夕やけがすると天気の
前兆であるとか、あるいは行灯の灯心にちょうができれば天気の兆候であるとか、鍋墨に....
「迷信解」より 著者:井上円了
昔、信玄が信濃に出発のとき、鳩一つ庭前の樹上に来たりたれば、衆人これを見て勝利の
前兆なりとて喜びたれば、信玄たちまち鉄砲をもってその鳩をうち落とし、人の惑いを解....