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前掛
「前掛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前掛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
ん。」
「何でございます? 真面目《まじめ》そうに。」
女中も出窓の日の光に、
前掛《まえかけ》だけくっきり照らさせながら、浅黒い眼もとに微笑を見せた。
「御隣....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
も、妙に平べったくしか見えないんでしょう。私、かなしくって、かなしくって。」――
前掛《まえかけ》を顔へあてて、泣いたって云うんだがね。そりゃ恋人の顔が、幕なりに....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
品の中から、驚いたような視線を洋一に集めた。と同時に神山は、派手《はで》なセルの
前掛けに毛糸屑《けいとくず》をくっつけたまま、早速帳場机から飛び出して来た。
「....
「路上」より 著者:芥川竜之介
てしまってからも、しばらくは明《あかる》い硝子戸の前に佇《たたず》みながら、白い
前掛《エプロン》の胸へ両手を合せて、次第に遠くなって行く二人の後姿を、懐しそうに....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
命に目次を辿《たど》って行った。
「木綿及び麻織物|洗濯《せんたく》。ハンケチ、
前掛、足袋《たび》、食卓《テエブル》掛、ナプキン、レエス、……
「敷物。畳《たた....
「或る女」より 著者:有島武郎
りをぬすむように見回した。とちょうどそこを通りかかった内儀《かみ》さんが、何かを
前掛けの下に隠しながらじっと葉子の立ち姿を振り返ってまで見て通るのに気がついた。....
「星座」より 著者:有島武郎
からでもかけ合ってもらうのが得策だろうとの返辞だったと父は言った。
そこに母が
前掛についた米の粉をはたきながらはいってきた。父は話を途切らそうか続けようかと躇....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
とうとした。 青月代が、ひょいと覗いた。幕の隙間へ頤を乗せて、 「誰か、おい、
前掛を貸してくんな、」と見物を左右に呼んだ。 「
前掛を貸しておくれよ、……よう、....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
やせん。 「若い衆、」 「らっしゃい!」 「遊ぶぜ。」 「難有う様で、へい、」と
前掛の腰を屈める、揉手の肱に、ピンと刎ねた、博多帯の結目は、赤坂|奴の髯と見た。....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
牡丹と相向う処に、亜鉛と柿の継はぎなのが、ともに腐れ、屋根が落ち、柱の倒れた、以
前掛茶屋か、中食であったらしい伏屋の残骸が、蓬の裡にのめっていた。あるいは、足休....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の浪花節を聞いたという。こんなのは月賦が必ず滞る。……洋服屋の宰取の、あのセルの
前掛で、頭の禿げたのが、ぬかろうものか、春暖相催し申候や否や、結構なお外套、ほこ....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
の帽子をかぶっていました。奥さんは聖ヨハネの祭日にむすめに着せようとして、美しい
前掛けを縫っていました。むすめはお母さんの足もとの床の上にすわって、布切れの端を....
「旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いました。それでも、森でひろいあつめたたきぎをひとたば、せなかにのせていました。
前掛が胸でからげてあって、ヨハンネスがふとみると*しだの木のじくにやなぎの枝をは....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
くなって、おまけにいのちをうしなわなければなりません。そうして、エリーザは両手を
前掛の下にかくしました。痛めている手を王さまにみられまいとしたのです。 「わたし....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
はまたな、御婦人じゃから直接にいっては赤い顔でもなさると悪いで申さんじゃったが、
前掛は止して袴になさるなぞは、まず第一のお心懸じゃよ。いや、しかし貴方の前じゃけ....