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前掛け
「前掛け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前掛けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
品の中から、驚いたような視線を洋一に集めた。と同時に神山は、派手《はで》なセルの
前掛けに毛糸屑《けいとくず》をくっつけたまま、早速帳場机から飛び出して来た。
「....
「或る女」より 著者:有島武郎
りをぬすむように見回した。とちょうどそこを通りかかった内儀《かみ》さんが、何かを
前掛けの下に隠しながらじっと葉子の立ち姿を振り返ってまで見て通るのに気がついた。....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
の帽子をかぶっていました。奥さんは聖ヨハネの祭日にむすめに着せようとして、美しい
前掛けを縫っていました。むすめはお母さんの足もとの床の上にすわって、布切れの端を....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
… 「ええ、これは、お客様、お麁末なことでして。」 と紺の鯉口に、おなじ幅広の
前掛けした、痩せた、色のやや青黒い、陰気だが律儀らしい、まだ三十六七ぐらいな、五....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
ふたりは力ない声で答えた。絣《かすり》の単物に、メリンスの赤縞《あかじま》の西洋
前掛けである。自分はこれを見て、また強く亡き人の俤《おもかげ》を思い出さずにいら....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
抜けて落ちた拍子に割れてしまった。驚いて拾い上げたが、もう縄に掛らなかったので、
前掛けに包んで帰ろうとすると、石段につまずいて倒れた。手と膝頭を擦り剥いただけで....
「わが町」より 著者:織田作之助
店へ行くと、お鶴が存外小綺麗な店にちょこんと坐って、ガラス箱の蓋を立てかけた中に
前掛けをまいた膝を見せ、赤切れした手で七味を混ぜていた。娘の初枝は白い瀬戸火鉢を....
「わが町」より 著者:織田作之助
ると、一眼でわかった。 他吉はあわてて眼をそらし、物を言わず歩きだすと、初枝は
前掛けをくるりと腹の上へ捲きつけて、随いて来た。 活動小屋の絵看板がごちゃごち....
「父」より 著者:金子ふみ子
女で、四十五、六でもあったろうか、総前髪の小さな丸髷を結うて、垢じみた浴衣に縞の
前掛けをあてていた。 この結構な学校へ私は、風呂敷包みを背中にななめに縛りつけ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
のブリキ板が蒼白い光を投げ、それが二人の職人のあいだを透して、彼らの顔と仕事用の
前掛けとを照らしていた。Kはこうしたすべてを軽く一瞥しただけだった。できるだけ早....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
を一冊持って炉のはたにきたり、好奇心を感じたらしくめくって見る。 お兼 (登場。
前掛けで手をふきつつ)おいしかったろう。(間)何を見ているのだえ。 松若 うむ。....
「渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
くろ》の臭いがまざった。 調理台で、牛蒡《ごぼう》を切っていた吉永が、南京袋の
前掛けをかけたまま入口へやって来た。 武石は、ペーチカに白樺の薪を放りこんでい....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
に落し込んで、背筋の先端に大きな関節を一つポコンと露わに見せていた。そして子供の
前掛けのように、胸に、それが明らかに監督の筆致で、 「此者ハ不忠ナル偽病者ニツキ....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
だった。暗い口を開らいている「製品倉庫」のなかから、低くひそめた声が呼んでいる。
前掛けはしめ直していたお君が「クスッ」と笑って、――急いで四囲を見た。だまってい....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
母親と由三が薄暗くなったのを幸いに、所々の他人の畑から芋や唐黍を盗んできた。――
前掛けの端を離すと、芋、唐黍、大根が一度に板の間にゴトンゴトンと落ちた。 「兄ち....