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前触れ
「前触れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前触れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
の中で味った幸福の名残りのごとく見えた。と同時にまた来るべき、さらに大きな幸福の
前触れのごとくも見えるのだった。
すると机の上の灰皿《はいざら》に、二三本吸い....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
も、江戸城の大玄関前へ行って天下を渡せと呶鳴ったものはない。全くこれが天下を渡す
前触れだったのか知れませんね」 老人も嘆息した。....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ある。三時を過ぎたが敵勢進攻の模様見えず、午後四時すこし前に警報が解ける。今日は
前触れだけで終了したわけだ。 ◯敵の機動部隊は逃げたらしいが、戦果はどうなのか。....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
古典復活の気運に唆られて、再び荻江節の師匠に戻りたがり、四十年振りだという述懐を
前触れにして三味線のばちを取り上げた。 荻江節 松はつらいとな、人ごとに、皆い....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
悔と心配とで、お道も碌々に眠られなかった。そうして、これが彼の恐ろしい禍いの来る
前触れではないかとも恐れられた。彼女の眼の前にも、お文の姿がまぼろしのように現わ....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
一度も東京を知らないから、見物ながら一緒につれてゆくということは、前の年の末から
前触れがあったので、僕は心待ちに待っていると、果して三月の末に赤座の兄妹は越後か....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
伯船長は、怒るよりも前に、和島丸の危険を感づいた。 「おい、みんな。これは遭難の
前触れに決った。お前たちは、すぐ部署につけ。おい事務長|銅羅をならして、総員配置....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
分には、もう降っているのが止みましたっけ。根雪に残るのじゃあございません、ほんの
前触れで、一きよめ白くしましたので、ぼっとほの白く、薄鼠に、梟の頂が暗夜に浮いて....
「博物誌」より 著者:岸田国士
後ろには、羊どもがぞろぞろ従い、どれもこれも似通っている。 そして、何一ついい
前触れをもってこない鴉さえほほえましいほど、すべてが新鮮な光の中に浸る。 まあ....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
かいころ、この一家におそろしい悲劇が見舞ったのである。 とつぜん、なんの予兆も
前触れもなしに、意外な人が思わぬ人の手にかかってしまった。 それまでは、風波と....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
を知った。 ところが、ベーリングの埋葬地点に達したとき、それがあたかも、悲劇の
前触れでもあるかのように、さっと頬をなでた、砂のように冷たいものがあった。 そ....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
て、増田さん、そこが、つい、絵かきつてものを、信用しちまつたのさ。絵かきつていう
前触れで、ピンと頭に来たのがさつきの話さ。なにしろ、家じや、絵かきを泊めるなあは....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
、もっと効果的な材料があった筈だ。 すなわち、成績のわるい支店の鼻の先に、何の
前触れもなしに、いきなり総発売元の直営店を設置したのがそれだ。大阪でいうならば、....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
迎えられていたのだった。エセックスとホワードとの召還は、ラレイへの司令長官任命の
前触れである、ということも可能ではなかろうか? だが遠征そのものは、たとえ裁可さ....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
に電報を打つたが、佐太郎は神経痛で足の不自由な老父をわずらわせる気にならず、何の
前触れもしなかつた。だから迎えられないのは当然ではあつたが、しかし途中はいいとし....