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前輪
「前輪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前輪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
時に、しがみついたのである。すると馬も創《きず》を受けたのであろう。何小二が鞍の
前輪へつっぷすが早いか、一声高く嘶《いなな》いて、鼻づらを急に空へ向けると、忽《....
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
り抜け、私は無意味やたらに自転車の鈴を鳴らした。 沼の岸に行きついて、自転車の
前輪が、ずぶずぶぬかった。私は、自転車から降りて、ほっと小さい溜息。狐火を見た。....
「自転車日記」より 著者:夏目漱石
の間約四尺ばかり、余はこの四尺の間をすり抜けるべく車を走らしたのである、余が車の
前輪が馬車馬の前足と並んだ時、すなわち余の身体《からだ》が鉄道馬車と荷車との間に....
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
頻《しき》りに遠慮をしました。けれどもとうとう紅矢の親切な言葉を断り切れず、鞍の
前輪《まえわ》に乗せられて都の方へ連れて行かれました。 紅矢はお婆さんが眼をま....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
見て、昌景、「彼奴は尋常の士ではない、打ち取れ」と馬上に突っ立つ処に、弾丸、鞍の
前輪から後に射通した。采配を口に銜え、両手で鞍の輪を押えて居たが、堪らず下に落ち....
「真田幸村」より 著者:菊池寛
ったところへ、この鉄砲組の弾が左の首摺の間に中ったので、既に落馬せんとして、鞍の
前輪に取付き差うつむくところを、忠直卿の家士西尾|仁右衛門が鎗で突いたので、幸村....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
帝にお尋ねになると、皇帝は右を向いてその地図をのぞき込まれた、その瞬間に車の右の
前輪が道の片側を仕切るコンクリートの低い土手の切れ目にひっかかった。そのはずみで....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
者は真面目に、偽の無さそうな眼で、ルスタムを瞶めた。そして、作法に従い、鉾を鞍の
前輪に立てて、云った。 「年は腕の力できめよう」 二騎は、更に広い場所へと騎っ....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
に十銭とられた。もう懲りているのであった。 格子がガラリとあき、続いて乳母車の
前輪を持ち上げて敷居を跨がす音がすると、ミツ子はどこからかそれをききつけ、抜から....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らの先生が……の場合なんだから」 もうこの時には、馬子の手綱をふんだくって鞍の
前輪へ手をかけて、ひらりと身軽く飛び乗ろうとする瞬間でした。 これが普通の馬子....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
で、身構えに少しも隙がありませんから圖書はこれは迚も敵わんと心得て、卑怯にも鞍の
前輪に付けて参った種が島の短筒に火縄を附けたのを取出して指向けました。山三郎も斯....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の上から風呂敷を取り出して、その絵馬を包んでしまい、そうして、大切に鞍《くら》の
前輪へ結びつけておきました。 そうしておいてから、さて改まった気持になって、堂....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
餞別を出させ、三百両の大金とし、これを甚内へ送ることにした。 江戸で需めた馬の
前輪へ、妹お霜の骨をつけ、 信州出た時ゃ涙で出たが 今じゃ信州の風もいや それ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
イカバッドはそのような馬には誂えむきの男だった。鐙が短かったので、両膝が鞍の
前輪にとどくほど高くあがった。彼の尖った肱はばったの足のように突きだし、鞭はその....
「三国志」より 著者:吉川英治
れしかろう」 玄徳は、恐懼して、 「おそれ多いことを」 と、馬上ながら、鞍の
前輪に顔のつくばかり、拝伏した。 ところへ、勢子の喊声におわれて、一匹の兎が、....