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「前通り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前通りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
煙管」より 著者:芥川竜之介
へやって来た。 「御前《ごぜん》は銀の煙管を持つと坊主共の所望がうるさい。以来従前通り、金の煙管に致せと仰せられまする。」 三人は、唖然《あぜん》として、為す....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
部屋代はいつでもよろしおま」と言うたのをこれ倖《さいわ》いに、飛田《とびた》大門前通りの路地裏にあるそこの二階を借りることになった。柳吉は相変らず浄瑠璃の稽古に....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
たし五十|間ばかりを瞬く間もない。――(この枇杷の樹が、馴染の一家族の塒なので、前通りの五本ばかりの桜の樹(有島家)にも一群巣を食っているのであるが、その組は私....
地獄街道」より 著者:海野十三
りした歩調に返ったのは、ユダヤ横丁をとおり抜けた先に沢山に押並んだ小さい二階家の前通りだった。歩いてゆくと、とある家の薄暗い軒下に一人の女が立っていた。まるまる....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
た連中は、跛を引きながら、脚をひきずっていた。それは、とぎれ、とぎれに、遠く、駅前通りの方にまでつゞいていた。途中でどっかへまぎれこんでしまった者もあると云う。....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
事が支倉から来る手紙を押収すべく浅田の家に乗り込んだ時に、石子刑事はトボ/\と蔵前通りを歩いていた。 二度目に発掘した屍体は幸にも専門家の鑑定によって、年の若....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
、いま頃の日の暮方は、その名所の山へ、絡繹として、花見、遊山に出掛けるのが、この前通りの、優しい大川の小橋を渡って、ぞろぞろと帰って来る、男は膚脱ぎになって、手....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
うだがね。」 と額を暗く俯向いた。が、煙管を落して、門――いや、門も何もない、前通りの草の径を、向うの原越しに、差覗くがごとく、指をさし、 「あの山を一つ背後....
イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
運び、種馬をつれて行きました。こうしてイワンはよぼよぼの牝馬を一匹だけ残され、以前通り百姓をして両親を養って行きました。 二 ところが、それを....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
たものだ。悪い友だちが出来たらしい。碌でもない所へ行くらしい」 ここは浅草の蔵前通りの、富豪加賀屋の奥座敷である。 源三郎の父の源右衛門と、源三郎の妹のお品....
三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
に、「浅草文庫の旧跡の下にはまた西に入るの小渠あり、須賀町地先を経、一屈折して蔵前通りを過ぎ、二岐となる。其の北に入るものは所謂、新堀にして、栄久町|三筋町等に....
剣侠」より 著者:国枝史郎
って盛んだと聞くと、早速香具師に早変りして、出かけて行って儲けて来、家へ帰れば以前通り、百姓や杣夫として生活するという――普通の十三香具師とは別派の、秩父香具師....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
洩れていた髪が、ゆるやかにうねって襞を作って、半白の色が真珠色に光った。が、すぐ前通りに正面を向いて、おおらかとして歩いて行った。 「本郷の殿様」はうなずいたが....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ある。 「ええ、御免下さいまし、甚だ推参なわけで、飛んだ失礼でございまするが、手前通りがかりのもので、」といい出る。 娘は上から伏目で見た、眦が切れて、まぶち....
春泥」より 著者:久保田万太郎
れはみせた。――それほど血気にみちたかれだった…… 折った前歯は入歯によって以前通りにすることが出来た。が、頬の傷はそうは行かなかった。あとまで長く痕になって....