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「前門〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前門の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
の流氷が「発見」号をおそってくる。船は、あちこちに転針してやっと遁れたが、じつに前門の虎去れば後門の狼のたとえか……極鯨吹きあげる潮柱のむこうに、ポツリと帆影の....
島原の乱」より 著者:菊池寛
げ、狸々緋の二本しないの馬印を立て、黒白段々の馬印従えた肥後守光利と共に、三の丸前門を攻撃した。 先鋒の部将長岡式部、城中に烟が起るのを見て、直ちに前門に進撃....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
い来る見込みか、月給はいくら貰っているか、そんなことをたずねだした。 山崎は、前門牌(煙草の名)を出してマッチをすった。――こいつが一本燃えつきてしまったら引....
怪塔王」より 著者:海野十三
せられました。 塩田大尉ののっている司令機のうしろについていた五機の操縦士は、前門の機銃の引金をいつでも引けるように用意をして、あとの命令をまちました。 そ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
んぞを相手にしていらるべきはずではないのですが、いま言う通り、この場合はまさに、前門熊をふせいで、後門先生を救わねばならない苦境にいる。 ようやくのことで小猛....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
戦略から言っても、外交から見ても、策の得たるものでないことがわかるから、そこで、前門の狼とは暫く妥協を試みて置いて、下流の乞食から退治にかかろうとする魂胆である....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
だ――と二人はお腹の中で思い合って歩いて居るのだ。 二三丁行くと、或る重役邸の前門の建て換え場だ。半月も前からである。 ――変な男女が、毎朝、同じ方向から出....
丹下左膳」より 著者:林不忘
一に収まって和平を楽しむの期《き》いまだ到《いた》らざる証《あかし》であろうが、前門に雲舞いくだって後門《こうもん》竜《りゅう》を脱す。 はいる乾雲に出る坤竜....
北京・青島・村落」より 著者:豊島与志雄
その雑沓は百貨店内のそれに似寄って、而も上海の百貨店内のような喧騒さは持たない。前門外の老舗には、それぞれ専門の豪華な商品が豊富に並んでいるが、店員のみいて客の....
北支点描」より 著者:豊島与志雄
の色っぽさは、そこの年若い芸妓のいずれを持ってきても足許にも及ばない。 北京の前門外の暢園茶社には、大勢の客が茶を飲みに行く。正面に小さな舞台があって、若い女....
ヤトラカン・サミ博士の椅子」より 著者:牧逸馬
植物、さわるとやけどする鉄の街燈柱、まっ黒に這《は》っているそれらの影、張り出し前門《ファサード》の下を行くアフガン人の色絹行商人、交通巡査の大|日傘《ひがさ》....
嘘の効用」より 著者:末弘厳太郎
す以外、なんら人類文化のために新しいものを建設するものではない。おそらくは彼らが前門に「概念法学」を打破しえた暁には「公平」と「自由」との要求が後門よりただちに....
昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
撃機と『ライオン戦車』群、北には赤旗の大群、南には世界一の大海軍。 昔の人が『前門の虎、後門の狼』とよんだのは、今の日本の戦略態勢(戦略上のありさま)だ。 ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ね。」 若い衆、板の間に手をかけて、分別ありそうに、傾いた。白いのを着た姿は、前門の虎に対して、荒神様の御前立かと頼母しく見えたので。 「いったんだがね、もっ....
奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
その管領に委せねばならなかったのである。要するに前九・後三の両役ともに、いわゆる前門の虎を防いでこれを後門の狼に譲り渡したという結果となってしまったのである。こ....