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剛毛
「剛毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剛毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蠅」より 著者:宮本百合子
くろ》がついて離れない。その重荷をつけたまま、熊蠅は一歩、一歩、異常な努力のため
剛毛の生えた腹を曲げ、吸つく肢を引ずって薬紙の上を歩き出した。雄々しさを褒める感....
「道標」より 著者:宮本百合子
わかるように説明したよ。――何て組合の職場集会での言葉だろう。あのもつれた暗色の
剛毛《こわげ》のたまのような女の感情の一部に、そう云う用語になじみきった一つの生....
「メールストロムの旋渦」より 著者:佐々木直次郎
潮流に呑まれたるのちふたたび浮び上がるや、はなはだしく折れ砕けてあたかもそが上に
剛毛を生ぜるがごとく見ゆ。こは明らかに、渦巻の底の峨々たる岩石より成り、そのあい....
「ロンドン一九二九年」より 著者:宮本百合子
をのばした背中に臆病な挨拶《コムプリメント》を与えようとするとスコッチ・テリアの
剛毛は自尊心のごとく無用の愛撫に向ってけばだった。 |山の手《ウエストエンド》....
「黒猫」より 著者:島木健作
させる。彼はこういう四肢をもって殆ど音もさせずに歩く。そしてその足指の陰には熊の
剛毛をさえも引き裂くべき、剃刀のような鈎爪がかくされている。 私はこういう剽悍....
「青草」より 著者:十一谷義三郎
伸ばした細い硝子の棒の先端を蜘蛛の眼のところへ近づけた。蜘蛛は四ミリほどの褐色の
剛毛の立っている脚で緩慢に方向を転じた。兄は冷く笑った。それから彼の前に並んでい....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ならぬ塵塚、塵芥堀の中から、のたうって芽を出した大南瓜ね。まあその蔓の太いこと、
剛毛のひどいこと、青臭いこと! その実の大きくて赤くて、肉が厚くて、美味で一寸泥....