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剥げちょろ
「剥げちょろ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剥げちょろの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
だ縮緬の蔽いが……しかも寸法の合わないものが掛かっているだけで、中味は昔のままの
剥げちょろけた古物に違いないのである。只そんなものが、色々の贅沢な装飾品で、如何....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
、それでも、其れも着ていれば目に立たぬが、下には、あの、もう袖口も何処も切れた、
剥げちょろけの古い米沢琉球の羽織に、着物は例の、焼けて焦茶色になった秩父銘仙の綿....
「旅の絵」より 著者:堀辰雄
なあと思いながら、そこにある古ぼけた寝台だの、いやに大きな鏡ばりの衣裳戸棚だの、
剥げちょろな鏡台だの、小さなナイト・テエブルだのを眺《なが》め廻しているうち、そ....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
三十一日は利根の渡を越えて、中田の駅を過ぎる。紀行には「左右貸座敷軒をならべ、
剥げちょろ白粉の丸ポチャちら/\見ゆる。」とあって、ここで「あだし野や馬に食はる....
「悪夢」より 著者:豊島与志雄
ぼーっと盲《めし》いた薄ら明り、濁ったままどんよりと湛えてる池の水、黙りこくった
剥げちょろの建物、凡てが重々しく私の心にのしかかってきた。 私は長い間身動きも....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
不知森《しらずのもり》 もう秋も深い十月の中旬《なかば》。 年代記ものの黒羽二重《くろはぶたえ》の素袷《すあわせ》に
剥げちょろ鞘の両刀を鐺《こじり》さがりに落しこみ、冷飯《ひやめし》草履で街道の土....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
りゃア、ひょっとすると喧嘩かな。いやはや、どうも弱ったの」 と、ぼやきながら、
剥げちょろの脇差をとりあげ、のっそりと上り框のほうへ歩いてゆく。耳早なひとりが聞....
「道」より 著者:織田作之助
思われた。一町先が晴れてもそこだけは降り、風は黒く渡り、板塀は崩れ、青いペンキが
剥げちょろけになったその建物のなかで、人びとは古障子のようにひっそりと暮していた....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
てぴたりと橋の欄干へ倚った。 「なんだ、ありゃあ?」 勘次も凝視《みつ》めた。
剥げちょろの、黒塗りの小舟のように見える。なかの一艘はことに黒い。 「勘、この川....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ですが、以前のままの大きな古い建築で、軒下には青い獅子頭などが突き出ていました。
剥げちょろけですがね。二階が出張っていましてね。それに入口の板の間が広く、柱が大....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
る大きな写真を指しながら、 「この写真が、その頃写したものなんですよ」 見ると
剥げちょろけた塔のような建物を背にして、石段の上に五六人の男が立ったり蹲踞だりし....