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剥身
「剥身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
剥身の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
ものの散ったのは、一軒飛離れて海苔粗朶の垣を小さく結った小屋で剥く貝の殻で、その
剥身屋のうしろに、薄霧のかかった中は、直ちに汽船の通う川である。 ものの景色は....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
したばかりで、薮だからどうにも出来ない。あくる朝なくなりました。きらずに煮込んだ
剥身は、小指を食切るほどの勢で、私も二つ三つおすそわけに預るし、皆も食べたんです....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ですから。」 私と袖を合わせて立った、橘八郎が、ついその番傘の下になる……蜆の
剥身の茹ったのを笊に盛って踞っている親仁に言った。――どうも狭いので、傘の雫がほ....
「京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
しても、紅隈、藍隈、墨隈というように色々ございますし、形から申しましても、筋隈、
剥身、火焔隈、一本隈、というように、化身、磐若、愛染というような役柄に、ぴったり....
「春心」より 著者:田中貢太郎
たりには漁夫の家が並んでいた。そこには店頭へ底曳網の雑魚を並べたり、あさりや蛤の
剥身を並べている処があって、その附近のお媽さんが、番傘などをさしてちらほらしてい....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
》で皿のものをつまんで出した。掌《てのひら》へ載せてみると、馬鹿貝《ばかがい》の
剥身《むきみ》の干したのをつけ焼にしたのである。 「妙なものを食うな」と聞くと、....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
始終ふるえているように見えた人だった。 その斜向《すじむこ》うに花屋があった。
剥身《むきみ》のように幅の広がった顔と体の妹と姉とがいた。二人がいるうちは花屋の....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
安座《あぐら》をかいていて小さい目は好人物というより、滑稽味《こっけいみ》のある
剥身《むきみ》に似た、これもけんそんな眼だ。白い髭《ひげ》が鼻の下にガサガサと生....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
剃《そ》りたてられるのが愁《こわ》いのだった。 そうだっけ、小僧の一人、亀吉は
剥身《むきみ》売りだったのだ。父親のない、深川ッ子の
剥身売りが、おおかめさんの台....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
のはっているような一線の疵《きず》跡……しかもその右の眼は、まるで牡蠣《かき》の
剥身《むきみ》のように白くつぶれているではないか!――ひさしぶりに丹下左膳。 ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
、加十にピッタリと寄り添うようにして坐り、銀の小さなフォークで生|蠣殻《かき》の
剥身を突刺し滴の垂れるやつを、
「さア」
と加十の口元に差しつける。加十も止む....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
百の話によるに、枳園はお召縮緬の衣を着て、海老鞘の脇指を差し、歩くに褄を取って、
剥身絞の褌を見せていた。もし人がその七代目|団十郎を贔屓にするのを知っていて、成....
「超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
ロ二重マント、穿いている長靴は勿論の事、その中に包まれている吾輩、鬚野房吉博士の
剥身に到るまで一切合財が天下の廃物ならざるはなし。コンナ豪華な応接間の緞子と真綿....
「焦点を合せる」より 著者:夢野久作
髪の毛の中はドウダ。何も無いか。よしよし。それでよしと……。 そんならモウこの
剥身に用は無いな。ハラショ。貴様達に呉れてやるから、そっちへ持って行って片付けろ....