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割に
「割に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
割にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
なぎ》が、こんもりと円く茂っている。だからその間を縫う水の面《おもて》も、川幅の
割には広く見えない。ただ、帯《おび》ほどの澄んだ水が、雲母《きらら》のような雲の....
「春」より 著者:芥川竜之介
尋ね悪《にく》い局所《きょくしょ》にも巧《たくみ》に話を進めて行った。しかしその
割に彼女や辰子《たつこ》の家庭の事情などには沈黙していた。それは必ずしも最初から....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
浦の話によると、これは彼の細君の従弟《いとこ》だそうで、当時××紡績会社でも歳の
割には重用されている、敏腕の社員だと云う事です。成程そう云えば一つ卓子《テエブル....
「河童」より 著者:芥川竜之介
「特別保護住民」としてチャックの隣に住むことになりました。僕の家《うち》は小さい
割にいかにも瀟洒《しょうしゃ》とできあがっていました。もちろんこの国の文明は我々....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
《ぼたん》が生けてあると云う体裁だがね。夕方から雨がふったのと、人数《にんず》も
割に少かったのとで、思ったよりや感じがよかった。その上二階にも一組宴会があるらし....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
おいて、松江市は他のいずれの都市よりもすぐれた便宜を持っていはしないかと思う。堀
割に沿うて造られた街衢《がいく》の井然《せいぜん》たることは、松江へはいるととも....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
舎衛城《しゃえいじょう》は人口の多い都である。が、城の面積は人口の多い
割に広くはない。従ってまた厠溷《しこん》も多くはない。城中の人々はそのためにたい....
「夢」より 著者:芥川竜之介
、※々《そうそう》この店を後《うし》ろにした。しかしそれはまだ善かった。わたしは
割にしもた家の多い東片町の往来を歩いているうちにふといつか夢の中にこんなことに出....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
よ。勘当された息子じゃねえが、二階で寝ると魘されらあ。身分相当割床と遣るんだ。棟
割に住んでるから、壁隣の賑かなのが頼もしいや。」 「不可ませんよ、そんなことをお....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
来たんです。 髪の毛が真白でね、かれこれ八十にもなろうかというんだけれど、その
割には皺がないの、……顔に。……身体は痩せて骨ばかり、そしてね、骨が、くなくなと....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
珍らしい鳥で、現界には全然棲んでいないと申すことでございました。尤も音色が美しい
割に毛並は案外つまらない鳥で、ある時不図近くの枝にとまっているところを見ると、大....
「しっかり者のすずの兵隊」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
。どうでしょう、ちょうど橋がおしまいになったところへ、下水が滝になって、大きな掘
割に流れこんでいました。それは人間が滝におしながされるとおなじようなきけんなこと....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
をおしつけて、すきみの穴をこしらえたものだ。あれはおもしろい見物だった。そとの掘
割には船が氷にとじられていた。乗組はみんなどこかへいっていて、からすが一羽のこっ....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
る不景気がきておるのであります。なぜ、そういうことになるかといえば、生産が伸びた
割に国民大衆の収入が増加しておらない、ところで、物が売れなくなった結果であります....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
渡し」はこの河岸から「明治病院」の裏手に当る河岸へ通っていた。その又向う河岸は掘
割になり、そこに時々どこかの家の家鴨なども泳いでいたものである。僕は中学へはいっ....