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割目
「割目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
割目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「単独行」より 著者:加藤文太郎
そこから最初簡単に岩を登って次に岩を這って行く、その次の岩の横腹へトラバースする
割目があるが、とても私には通れないのでこの岩のナイフエッジにぶら下がって進んで行....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
片手でさすってみた。――皆は、夕飯が終って、「糞壺」の真中に一つ取りつけてある、
割目が地図のように入っているガタガタのストーヴに寄っていた。お互の身体が少し温っ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
かし間もなく湖水の水が最初モクモクと泡立つと見る間に、忽ちグイと左右に割れ、その
割目から灘兵衛が逞しい顔を現わした。プーッと深い呼吸をすると、水が一筋銀蛇のよう....
「火星兵団」より 著者:海野十三
ているって。それはどういう意味かね。この階段の上には、さっき僕たちがはいった床の
割目があるはずだ」
「それが、ないのですよ」
「なにっ」
先生は、驚いて、懐中....
「空襲警報」より 著者:海野十三
山隊の連中から蝋燭が借りられた。灯をつけると、硝子壜の傷をあぶった。ピーンと壜に
割目が入った。壜をグルグル廻してゆくと、しまいに壜の底がきれいに取れた。一同は固....
「橋」より 著者:池谷信三郎
なのがあります。二人の相愛の恋人が、山登りをして、女が足を滑らせ、底知れぬ氷河の
割目に落ちこんでしまったのです。男は無限の憂愁と誠意を黒い衣に包んで、その氷河の....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
て立っていた。 山逕の磽※、以前こそあれ、人通りのない坂は寸裂、裂目に草生い、
割目に薄の丈伸びたれば、蛇の衣を避けて行く足許は狭まって、その二人の傍を通る……....
「不周山」より 著者:井上紅梅
の周りを見ると、流水はもう大部退いており、所々に大きな平たい石が露出し、その石の
割目には、色々のものが挟まっておるが、あるものはピンと突立ち、あるものはまだ動い....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
その――古風な風見が廻っている岬の一つ家には、痩せてひょろ高い浜草が、漆喰の
割目から生え伸びているほどで、屋根は傾き塗料は剥げ、雨樋は壊れ落ちて、蛇腹や破風....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
ような、憧れを抱きはじめたのである。 おりおり母は、軟体動物が潜り込んでいる、
割目を覗き込んで、無残にも軟らかな肢を引きちぎったり、あるいは苔の上を、滑べるよ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
はただ草を抽いて二三尺ばかりだけれども、広さおよそ畳を数えて十五畳はあろう、深い
割目が地の下に徹って、もう一つ八畳ばかりなのと二枚ある。以前はこれが一面の目を驚....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
読んでほしい。 一 「ドンドン、ドン」 泥壁には地図のように
割目が入っていて、倚りかかると、ボロボロこぼれ落ちた。――由三は半分泣きながら、....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
、熱湯の如くに沸っている。これを浴びれば一時に煮殺される。 七十四 少しの隙間や
割目から、この泥々の熱湯が流れ込んで、地上の廃残の物は勿論穴倉の底の物まで、溢れ....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
向って大嶂壁の下を通り抜ける、今度は「廻れ右」して、この嶂壁の中間にある幾条かの
割目を探り、岩角に咬りついて登るのだ。峰頭を仰ぐと危岩が転げ落ちそうで、思わず首....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
る。
声(下より。)
おうい。待ってくれ。
声(上より。)
岩の
割目から呼ぶのは誰だい。
声(下より。)
己を連れて行ってくれ。連れて行....