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劇しい
「劇しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
劇しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
わたしはこういう悠長な時代に生まれて、悠長な時代に育って来たのである。今日の
劇しい、目まぐるしい世のなかに堪えられないのも無理はない。(大正13・12「女性....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を見せなかった。そして、暗に算哲の不思議な役割を仄めかすと、法水もそれに頷いて、
劇しい皮肉を酬いられたかのように、錯乱した表情を泛べるのだった。事実、それが幽霊....
「祖母」より 著者:楠山正雄
かが青く見えました。やっと白い光に慣れると、こんどは眩しくって、眼にしみるような
劇しい痛みを感じました。 「やはり眼がねをかけなければだめなんだよ、おばあさん。....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
胴の内に入って目出たく踊って終になるというのが多かったようです。この怪談仕掛物の
劇しいのになると真の闇の内からヌーと手が出て、見物の袖を掴んだり、蛇が下りて来て....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
、潮風に湿気を帯んだ黒っぽい砂地を現わしていた。砂地の隅の方には、格闘したらしい
劇しい靴跡が、入乱れながら崖の縁迄続いている。よく見ると、所々に普通に歩いたらし....
「一枚絵の女」より 著者:国枝史郎
一人に子一人の境遇、美貌であり品もあり穏しくもあったが、どっちかといえば病身で、
劇しい商機にたずさわることが出来ず、家に小金があるところから、和歌俳諧茶の湯音曲....
「墓」より 著者:秋田滋
り、落ついて物を考えることなどは出来なかったのであります。彼女が死んでしまうと、
劇しい絶望のために、わたくしは茫然としてしまって、もう考えも何もなくなってしまい....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
を擡げて聞き澄ましたが、にわかにムックリ起き上った。周囲を見ると女太夫共が、昼の
劇しい労働に疲労、姿態構わぬ有様で、大|鼾で睡っていた。 それを跨ぐとトン公は....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
命を断たしめるのは、いかなる深刻な懊悩、いかなる精神的苦痛、傍目には知れぬ失意、
劇しい苦悶がその動機となっての結果であろうか? こうした場合に世間ではよく恋愛関....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
離した。改めて二人は互の顔を見た。許すまじき忿怒の相を認め合って殺気立った。遂に
劇しい素手の拳闘が始まってしまった。二人は遂に到着すべきところに、まっしぐらに飛....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
の手を差し出した。近頃氏の握手には木骨に触れる性の無い堅さを感じる。これは永年の
劇しい創作的努力と英国紳士としての対外的妥協の生涯から来た全身的疲労の一部だとも....
「山椒魚」より 著者:岡本綺堂
んそれは毒だよと注意したそうです。沢桔梗の茎からは乳のような白い汁が出て、それは
劇しい毒をもっているので、ここらでは孫左衛門殺しといって、子供でも決して手を触れ....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
るまい。 今日は品川荒神の秋季大祭とかいうので、品川の町から高輪へかけて往来が
劇しい。男も通る、女も通る、小児も通る。この人々の阿父さんや祖父さんは、六十年|....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ない。ただ雪を切布に包んで眼に当てて居ると幾分か楽に感じますけれども、その痛みが
劇しいのでその夜は良い寝床を得たに拘わらずやはり寝られなかったです。
ところが....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
祖や名僧知識の説きましたものを選ぶのがよろしいと思います。例として挙げました女の
劇しい単的な性質には、日蓮宗の行業がうまく当て嵌ったのでした。 仕事を力一ぱい....