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「動悸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

動悸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。のみならずはにかみ易い上にも、磨《と》ぎ澄ました肉屋の庖丁《ほうちょう》にさえ動悸《どうき》の高まる少年だった。その点は――殊にその点は伏見鳥羽の役に銃火をく....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
歩いていることもある。 保吉はお嬢さんの姿を見ても、恋愛小説に書いてあるような動悸《どうき》などの高ぶった覚えはない。ただやはり顔馴染みの鎮守府《ちんじゅふ》....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
もその車へ這い上ると、まだ血相を変えたまま、東両国へ急がせました。が、その途中も動悸《どうき》はするし、膝頭の傷はずきずき痛むし、おまけに今の騒動があった後です....
或る女」より 著者:有島武郎
をつい忘れようとしたのだった。それで、 「ですけれどもまだこんななんですの。こら動悸《どうき》が」 といいながら、地味《じみ》な風通《ふうつう》の単衣物《ひと....
或る女」より 著者:有島武郎
よくうそをおつきなさるのね」 葉子はもう肩で息気《いき》をしていた。頭が激しい動悸《どうき》のたびごとに震えるので、髪の毛は小刻みに生き物のようにおののいた。....
溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
もいいます。波が高まると妹の姿が見えなくなったその時の事を思うと、今でも私の胸は動悸《どうき》がして、空《そら》恐ろしい気持ちになります。....
星座」より 著者:有島武郎
れていた。もし万一母を失うようなことがあったらどうしようと思うとおぬいはいつでも動悸《どうき》がとまるほどに途方に暮れるのだが、そのみじめさが切りこむように夢の....
海異記」より 著者:泉鏡花
十四 強盗に出逢ったような、居もせぬ奴を呼んだのも、我ながら、それにさへ、動悸は一倍高うなる。 女房は連りに心急いて、納戸に並んだ台所口に片膝つきつつ、....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
て居るかを、直ぐ見て取る事が出来た。余りの不意に思わず気息を引くと、迸る様に鋭く動悸が心臓を衝くのを感じた。而してそわそわしながら、ヤコフ・イリイッチの方を向く....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
きながら、背中に獅噛んだ面の附着く……門附の袷の褪せた色は、膚薄な胸を透かして、動悸が筋に映るよう、あわれ、博多の柳の姿に、土蜘蛛一つ搦みついたように凄く見える....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
十六 疲れてそのまま、掻巻に頬をつけたなり、浦子はうとうととしかけると、胸の動悸に髪が揺れて、頭を上へ引かれるのである。 「ああ、」 とばかり声も出ず、吃....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
群れに囲まれてしまいました。 子どもは顔をおかあさんの胸にうずめて、心配で胸の動悸は小時計のようにうちました。 「私こわい」 と小さな声で言います。 「天に....
歯車」より 著者:芥川竜之介
そりと枝をかわしたまま、丁度細かい切子硝子を透かして見るようになりはじめた。僕は動悸の高まるのを感じ、何度も道ばたに立ち止まろうとした。けれども誰かに押されるよ....
活人形」より 著者:泉鏡花
じける。 その時得三は袖を掲げて、雪より白き下枝の胸を、乳も顕わに押寛ぐれば、動悸烈しく胸|騒立ちて腹は浪打つごとくなり。全体虫が気に喰わぬ腸断割って出してや....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
何だか怖くなって来た。』 船『なアに大丈夫です。気永くおやりなさい。』 漁史の動悸は、一秒毎に高まり来り、嬉しいには相違なきも、危惧の念亦一層強く、たとえ十分....