» 勘忍

「勘忍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

勘忍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
に、眼には自然と熱い涙も、にじみ出して来たのでございます。 「お父《とう》さん、勘忍《かんにん》して下さい。――」 その微笑は無言の内に、こう申していたのでご....
おぎん」より 著者:芥川竜之介
おぎんの方は見ようともしない。 「お父様《とうさま》、お母様《かあさま》、どうか勘忍《かんにん》して下さいまし。」 おぎんはやっと口を開いた。 「わたしはおん....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
》として新しい光に、照される事になったからである。 「もし気に障《さわ》ったら、勘忍し給え。僕は君と話している中に、あんまり君が青年らしい正直な考を持っていたか....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
る。彼は尻もちをついたまま、年とった支那人に歎願した。 「もしもし、馬の脚だけは勘忍《かんにん》して下さい。わたしは馬は大嫌《だいきら》いなのです。どうか後生《....
星座」より 著者:有島武郎
もう涙も出なかった。乾いたままで唇が無性に震えた。 「お父さん、それだけはどうか勘忍してください」 父は地声になって口をとがらした。 「勘忍してくださいといっ....
思い出の記」より 著者:小泉節子
』と車夫に尋ねますと『もう少し行くと人家が七軒あって一軒は宿屋をするから、そこで勘忍して下さい』と申すのです。車が宿に着きましたのが十時頃であったと覚えています....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
の白露人全部が嫌疑者にならなくてはなりませんわ。あの貪欲と高い利息とでは、いくら勘忍強い神様でもお憎しみにならずにはいられないでしょう。ですから、現在の父を見て....
納豆合戦」より 著者:菊池寛
ボさせたかと思うと、お巡査さんの方へ、手さぐりに寄りながら、 「もう、旦那さん、勘忍して下さい。ホンのこの坊ちゃん達のいたずらだ。悪気でしたのじゃありません。い....
独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
のって特殊飛行をやってみたい衝動に駆られて、弱った。 ついにゴンゴラ総指揮官の勘忍袋の緒が切れ、警衛隊に命令して、金博士をオムスク酒場から引き立て、官邸へ連れ....
地軸作戦」より 著者:海野十三
だな。それに違いない。それ故、ろくろく口もきかないのだ」 ネルスキーは、ついに勘忍袋の緒を切らしたという風に、あくどい罵言をはきはじめた。それでも金博士は、や....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
かって同僚達は嘲笑った。彼には夫れが耐えられない。 不快の間に三年を経た。其時勘忍の緒を切らした。 城外八沢の橋の上で日頃怨ある同僚二人を決闘の後討取ったの....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
。……いつまで待てとおっしゃるのでしょう。……」 「いいえ、いけませんの、どうぞ勘忍して。……妾、辛いのでございますわ。……だって、叔父様が……ね、ですから……....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
ないときは、どうしても、表面は憎み足りないような、あんな所作をしていたの。でも、勘忍してね。私、もうどんな事があっても、一生離れたくないのよ。よう、どうしたの、....
」より 著者:犬田卯
を踏んで、歯をぎりぎりとかみ、熱い涙をはらはらと飛ばした。 「おっ母さん、はア、勘忍して……おっ母さん、よう勘忍して……」とおさよが、泥手のまま夫に武者ぶり付こ....
情鬼」より 著者:大倉燁子
ては実に辛かったらしゅうございます。それだけに迚も愉快でした。 『もういい加減に勘忍して下さい』 うめくように小田切さんがいいます。 『私と結婚すれば勘忍して....