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勤番
「勤番〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
勤番の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
一層の奥床しさを感じさせたと見えて、今まで内蔵助の方を向いていた彼は、永年京都|
勤番《きんばん》をつとめていた小野寺十内の方へ向きを換えると、益《ますます》、熱....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
大抵の者はうだってしまわあね。どうでこんな時に口をあいて見ているのは、田舎者か、
勤番者《きんばんもの》か陸尺《ろくしゃく》ぐらいの者さ」 手拭で目のふちを拭い....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たずら盛りが大勢一度に寄り合うのであるから、控え所のさわぎは一と通りでないのを、
勤番支配の役人どもが叱ったり賺《すか》したりして辛くも取り鎮めているのである。子....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
であった。三十二三の小作りの男で、表向きの商売は刻み煙草の荷をかついで、諸屋敷の
勤番部屋や諸方の寺々などへ売りあるいているのであるが、それはほんの世間の手前で、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
り者で、煙草屋といっても店売りをするのではなく、刻み煙草の荷をかついで、諸藩邸の
勤番小屋や中間部屋、あるいは所々の寺々などへ売りに行くのである。彼は関口屋の長屋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の塚田弥之助というのは、今年二十二の若い人で、正月いっぱいに江戸を引き払って甲府
勤番ということになりました。仕様のない道楽者であるために、いわゆる山流しで甲州へ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。湯屋の二階には刀掛けがあった。 「けれども、毎日欠かさずに来るんですぜ」 「
勤番者だろう。お吉に思召しでもあるんだろう」と、半七は笑った。 「だって、おかし....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
末年に御用道中で大阪へゆくことになりました。大阪の城の番士を云い付かって、一種の
勤番の格で出かけたのです。よその藩中と違って、江戸の侍に
勤番というものは無いので....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
つにして其詮策に取り掛かかりましたが一向手掛かりもありません。 旗本や御家人や
勤番侍などへ夫れと無く探り入れても見ましたが、香ばしいこともありません。かいくれ....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
借りたその日から、トントン拍子に出世されたそうだ。……で、この壺はそれ以来、甲府
勤番御支配頭の、保管に嘱していたものだそうな。そうして甲府城の土蔵の奥に大切に仕....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
た狐爺とか、河童の見世物とか和蘭陀眼鏡とかそんないかがわしい見世物小屋があって、
勤番武士とか、お上りさんとか、そういう低級の観客の趣味に、巧みに迎合させていた。....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
。
そういう建物にはさまれて、広々と延びている往来には、今や人が出盛っていた。
勤番者らしい武士が行けば、房州出らしい下女も行く。職人も通れば折助も通る。宗匠ら....
「放し鰻」より 著者:岡本綺堂
たのである。かれは三十になるまで独身で、きざみ煙草の荷をかついで江戸市中の寺々や
勤番長屋を売り歩いているのであるから、その収入は知れたもので、このままでは鬢の白....
「おせん」より 著者:邦枝完二
前かけで、拭きながら、ぞろぞろつながって出てくる有様は、流石に江戸は物見高いと、
勤番者の眼の玉をひっくり返さずにはおかなかった。 「――さァさ来た来た、こっちへ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
沙汰の限りだが、江戸時代には富豪の家庭の美くしい理想であったのだ。 が、諸藩の
勤番の田舎侍やお江戸見物の杢十田五作の買妓にはこの江戸情調が欠けていたので、芝居....