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匍う
「匍う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
匍うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
無謀な、そして大胆な決心であろう。 飛行島をモーター・ボートとすれば、その舷を
匍う船虫ほどの大きさもない川上機関大尉が、どうして飛行島占領などというでっかいこ....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
を健全なる国民思想にひきずるのであった。音楽浴の正体は、中央発音所において地底を
匍う振動音楽を発生せしめ、これを螺旋椅子を通じて人間の脳髄に送り、脳細胞をマッサ....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
硬い氷をやぶって吹雪のような氷片がとぶ。 まっくろな硝煙は、氷上をなめるように
匍う。 実におそろしい光景がいくたびとなく、くりかえされた。 隊員は、声をか....
「蠅男」より 著者:海野十三
音を聞きましたものやから、吃驚して走りだしましたので――」 「ナニ蠅男? 蠅男の
匍うていっきょる音を聞いたいうのんか。ええオイ、それは本当か――」 署長は冗談....
「街の探偵」より 著者:海野十三
した。『ホスゲンは空気の三倍半も重い瓦斯だ。壜の中から小屋の中に流れだすと、床を
匍うよ。ところが床下が、ほらこんなにすいている。すると必然的に、屋上に流れ出すじ....
「見えざる敵」より 著者:海野十三
上海四馬路の夜霧は濃い。 黄いろい街灯の下をゴソゴソ
匍うように歩いている二人連の人影があった。 「――うむ、首領この家ですぜ。丁度七....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
一行の先頭に立ち、静かに、構内を、第九工場に向って、行進を始めたのだった。地上を
匍うレールの上には、既に、冷い夜露が、しっとりと、下りていた。 「電纜工場は、夜....
「富士」より 著者:岡本かの子
福慈岳の存在に出遇ってみると、それ等のものは一時にけし飛び、自分なるものを穴に横
匍う蘆間の蟹のように畸形にも卑小に、また、経めぐって来た永い歳月を元へ投げ戻され....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ばかりの結制を行っていた。むかし釈尊時代に、夏の雨季は旅行も困難だし歩いても道に
匍う虫類を踏むと可哀想だというので室内に閉じ籠り定座思惟に耽った。その習慣が伝わ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
一人の倭人が、雪山のように高い、白い白い破損紙の層を背に負って、この大伽藍の中を
匍うように動き出したのにも驚いた。考えて見ると空と空とを孕んだ紙の層はいかに高く....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
い、根曲り竹が夫へ緑の縁をつけたように生えている、そこが私達の唯一の通路なのだ。
匍うようにして行くと岩壁の突端に出た、そして恐ろしさに身をすくめずにはいられなか....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
「俺アもうやめた。」 行けば行けると思っていたのに、眼がさめると、身体が痛くて
匍うことしか出来なくなっていた。 「何んだって※」――母親がむっくり頭をあげた。....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
、どうも手ごしらえの櫂といえば櫂、棒同然な物で大海を乗切るのでありますから、虫の
匍うより遅く、そうかと思うと風の為に追返されますので、なか/\捗取りませぬ。其の....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
味噌汁でも吸うより外に仕方の無い時がある。春雨あがりの朝などに、軒づたいに土壁を
匍う青い煙を眺めると、好い陽気に成って来たとは思うが、食物の乏しいには閉口する。....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
たべものの事ばかり気にしている。僕はこのごろ、一個の生活人になって来たのだ。地を
匍う鳥になったのだ。天使の翼が、いつのまにやら無くなっていたのだ。じたばたしたっ....