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匍匐
「匍匐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
匍匐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
捉えられないために、彼は海底を大まわりしなければならなかった。それはかなり苦しい
匍匐《ほふく》だった。彼は海によったような気がしながら、泥を掻いて後退して行った....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
井からか、画板からか、押入れからか、天井は此の室と上の時計室との間から、人ならば
匍匐《はっ》て這入れる様に成って居るから或いは誰か這入ったかも知れぬ、併し下から....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
或る者を羨ましくも思った。 木枕に押しつけていた耳が痛むので、かれは頭をあげて
匍匐いながら、枕もとの煙草入れを引きよせて先ず一服すおうとするときに、部屋の外の....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
は時々私の姿が、母を失った嬰児の如く私の眼に映るからだ。嬰児は何処をあてどもなく
匍匐する。その姿は既に十分|憐れまれるに足る。嬰児は屡※過って火に陥る、若しくは....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
アフリカにしかない、ジャングルの大奇景なのである。 つまり、寄生木や無花果属の
匍匐性のものが、巨樹にまつわりついて枯らしてしまうのだ。そのあとは、みかけは天を....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
兵力を増加した様子である。薩軍の兵火少しく衰うと見ると進み、激しいと見ると伏す。
匍匐って進むのであるが、木や草が稀なので地物として利用するものが無い。胸壁を築き....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
などの下蔭にうずくまっている。ここの落葉松は、小御岳では風雪と引っ組んで、屈曲|
匍匐しているに似ず、亭々として高く、すらりと延び上っている自然のままの、気高さに....
「貧乏」より 著者:幸田露伴
がら、異に潰れた声で呼ぶ。 「大将、風邪でも引かしッたか。 両手で頬杖しながら
匍匐臥にまだ臥たる主人、懶惰にも眼ばかり動かして一※|眼見しが、身体はなお毫も動....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
誇ったのを、にわかに恥じて、差翳した高慢な虫眼鏡を引込めながら、行儀悪くほとんど
匍匐になって、頬杖を突いている滝太郎の顔を瞻って、心から、 「あなたの目は恐いの....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
言葉を思い出した。それは邯鄲の歩みを学ばないうちに寿陵の歩みを忘れてしまい、蛇行
匍匐して帰郷したと云う「韓非子」中の青年だった。今日の僕は誰の目にも「寿陵余子」....
「秀吉・家康二英雄の対南洋外交」より 著者:国枝史郎
め、末段に「来春、九州肥前に営すべし、時日を移さず、降幡を偃せて来服すべし、もし
匍匐膝行遅延するに於ては、速かに征伐を加うべきや必せり」と記させた。何という恫喝....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
こで原形質がいろいろに形をかえて、食物を摂取したり、位置を変えたり致します。その
匍匐する有様を見て居りますと、あるときは籬の上を進む蛞蝓のように、又あるときは天....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
神などいうを見、天の逆鉾、八大観音などいうものあるあたりを経て、また梯子を上り、
匍匐うようにして狭き口より這い出ずれば、忽ち我眼我耳の初めてここに開けしか、この....
「周防石城山神籠石探検記」より 著者:喜田貞吉
でいる。 穴は石壁の下部にあって、その口において高さ一尺二寸横一尺六寸、僅かに
匍匐して入る程だが、十間余も入れば小児ならば僅かに身を屈すれば立って歩むに足る程....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
た被服廠の死屍、まるであの惨憺たる写真のとおりだが、これはまさしく現実に活動し、
匍匐し、生殖し、吼哮する海獣の、修羅場の、歓楽境の、本能次第の、無智の、また自然....