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「北枕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

北枕の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
がないので、ただ都合の好い位置を択《よ》って、何の囲《かこ》いもない所へ、そっと北枕に寝かした。今朝方《けさがた》玩弄《おもちゃ》にしていた風船玉を茶の間から持....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は三畳と六畳と八畳の三間に過ぎなかった。その八畳の座敷の片隅に、小さい娘の死骸が北枕に寝かされて、さすがに水と線香とが供えてあった。半七は這い寄って娘の死骸をの....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ておみよの死骸を抱きおろした。その死骸を奥へ運んで、頸にからんでいる帯をといて、北枕に行儀よく横たえて、かれは泣いて拝んだ。母にあてた書置は火鉢のひきだしに入れ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
棺をそばに置いて、どっちの方角を頭にしたものかとの百姓らしい言葉の争いもあった。北枕とも言い伝えられて来たところから、これは北でなければならないと言うものがある....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
思って、亡き父母の怨念に、手を合せずにはいられない。 一四 翌日、浪路の、北枕の亡骸《なきがら》の側に、法印を居残らせて、どこへか出て行った闇太郎、道具屋....
爆弾太平記」より 著者:夢野久作
。 ナニ。この三杯酢かい。こいつは大丈夫だよ。林青年の手料理だが、新鮮無類の「北枕」……一名ナメラという一番スゴイ鰒の赤肝だ。御覧の通り雁皮みたいに薄切りした....
近世快人伝」より 著者:夢野久作
最初は一番毒の少ないカナトウ鰒をば喰いましたが、だんだん免疫て来ますと虎鰒、北枕ナンチいうものを喰わんとフク喰うたような気持になりまっせん。北枕なぞを喰うた....
脳波操縦士」より 著者:蘭郁二郎
のみ作用すると考えると同様な認識不足さ、それが一般の考えだろう――。君は『死人の北枕』というのを知っているかね。尤もこれは釈迦が死んだ時に北を枕にしていた、とい....
だいこん」より 著者:久生十蘭
の丸の旗が無心にヒラヒラひるがえっている。今日からの日本は、塩辛い水にかこまれ、北枕に寝た、細長いひとつの〈島〉にすぎない。〈国〉でもないのに国旗をあげる権利は....
海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
いるそうである。そのうち名古屋河豚(小斎河豚)、目赤、虎河豚、黄金河豚、銀河豚、北枕、篭目河豚などが普通知られている。 私らが、料理屋で食うのは虎河豚、名古屋....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
おひ》になゐふる夏野かな 夕顔や黄に咲いたるもあるべかり 夜を寒み小冠者臥したり北枕 高燈籠《たかどうろ》消えなんとするあまたゝび 渡り鳥雲のはたての錦かな 大....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
ったくり。 手当も出来ないで、ただ川のへりの長屋に、それでも日の目が拝めると、北枕に水の方へ黒髪を乱して倒れている、かかる者の夜更けて船頭の読経を聞くのは、ど....