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十人十色
「十人十色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
十人十色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「創作家の態度」より 著者:夏目漱石
ります。これはただに一例であります。詳《くわ》しく云うと講演の冒頭に述べたごとく
十人十色で、いくらでも不思議な世界を任意に作っているようであります。中にもカント....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
窓から出て来たような少女の袴を着け、洋書と洋傘とを携えるのも目につく。まったく、
十人十色の風俗をした人たちが彼の右をも左をも往ったり来たりしていた。 不思議な....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
共に空という母胎から産まれてくるものだというのです。いったい世間のものは、みんな
十人十色で、どれだけ大勢の人が集まっていても、寸分たがわぬ、同じ人間は、一人もあ....
「蕎麦の味と食い方問題」より 著者:村井政善
にして蕎麦の味を食うのでなく、かやくや汁を食べることになってしまうのであります。
十人十色と申しますが、そのうち食物ほどまちまちのものはないということができます。....
「千世子」より 著者:宮本百合子
つられるマットン・チョップ(間抜もの)もあるんですかネエ」 「案外なものですよ、
十人十色世間は広いんですから」 「又時間をつぶして来ようとは思えないところですわ....
「科学上の骨董趣味と温故知新」より 著者:寺田寅彦
題として、その人々の科学というものに対する見解やまたこれを修得する目的においても
十人十色と云ってよいくらいに多種多様である。実際そのためにおのおの自己の立場から....
「学位について」より 著者:寺田寅彦
ものの批判が非常に複雑困難なものであって、その批判の標準に千差万別があり、従って
十人十色の批評者によって
十人十色の標準が使用されるから、そこに批判の普遍性に穴が....
「漫画と科学」より 著者:寺田寅彦
撃する現象その物の表示ではない。 優れた観察力をもった漫画家が街路や電車の中で
十人十色の世相を見る時には、複雑な箇体が分析されて、その中のある型の普遍的要素が....
「徒然草の鑑賞」より 著者:寺田寅彦
ュタインの相対性原理がまだ十分に承認されなかった頃、この所論に対する色々な学者の
十人十色の態度を分類してみると、この『徒然草』第百九十四段の中の「嘘に対する人々....
「東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
あるまいか。 どうせ、文学に対する考え方なぞ、人生に対する考え方とおんなじで、
十人十色であり誰の作品にしろ、作者が意気ごんで待ち構えているほどには、いいかえれ....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
教会へお勤めに来る人はひとり残らず知っていた。そうした人たちの教会へ来る時刻から
十人十色の癖まで、彼はいちいち承知していた。石ただみのうえをこつこつと歩いて来る....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
画く。形にならねえ物をかく。三つ児の魂百までだ、それが抜けねえ。ええか、もっとも
十人十色、形あ違う。が、なくて七癖あって四十八癖、ぼんやりしてる時あお互えによく....
「材料か料理か」より 著者:北大路魯山人
しがいおうとするのは、習慣は習慣として、誰でもおいしいと思うものの味の話である。
十人十色といって、そのたばこにもコーヒーにも、うまいまずいがあるらしい。それぞれ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
今回旅行の一大失策であった。 乗客の衣服には、なんらの制限なく勝手次第なれば、
十人十色である。婦人の寝巻に、日本服を着しいたるもの二人見受けた。カラーをつけて....
「くだもの」より 著者:正岡子規
。桃が上品でいいという人もあれば、林檎ほど旨いものはないという人もある。それらは
十人十色であるが、誰れも嫌わぬもので最も普通なものは蜜柑である。かつ蜜柑は最も長....